エリス

出典: Jinkawiki

2010年2月3日 (水) 11:09 の版; 最新版を表示
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概要

ピッツバーグに生まれ、コロンビア大学で臨床心理学の学位を得る。 合理情動療法を創始した心理療法家であり,ニューヨーク合理情動療法研究所所長。当初はホーナイ派の精神分析の訓練を受けてニューヨークで心理療法のクリニックを開業していたが、1955年に精神分析から離れ、行動療法や一般意味論、実存主義、プラグマティズムなどの影響を受けなが、ABCシェマという独自の理論を構築し、合理情動療法を発展させた。1982年のアメリカ心理学会による調査「20世紀に最も影響の大きかった心理療法家」ではカール・ロジャーズに次いで、堂々2位に選ばれている。また、1957年以降、論文への引用頻度でも一位を続けていた。1955年に心理療法の新しいアプローチとして論理療法を考案している。 1962年に論理療法を論理情動療法/理性感情療法と名称を変更した。 1995年に論理情動療法を論理情動行動療法/理性感情行動療法と名称を変更した。


論理療法

エリスによって創始された心理療法。論理情動療法あるいは論理療法とも訳される。近年では,エリス自らが「行動」の文字を加え,合理情動行動療法と称している。認知の変容を治療目標とする一つの治療体系である。人の反応は刺激によってのみ生じるものではなく,刺激の解釈などの認知的変数によって生じると考える。そこで,個人の 思考のスタイルに焦点を当て,それが変化すれば反応が変化すると考えた。合理情動療法の特徴はABCシェマという理論に集約される。Aとはactivating eventのことであり,その後の反応を導き出す原因となる出来事のことである。Bはbeliefであり,信念(ビリーフ)と訳されている。これはAについての思考や信念などの認知的変数を表している。Cはconsequenceであり,Bから生じた情動的あるいは行動的結果であり,反応を表している。結果Cは,クライエントの目には賦活事象Aが直接引き起こすかのように見える。だが,じつはその間に信念Bとよぶ 認知スタイルが存在する。この場合,クライエントに問題を引き起こさせるBが問題となる。問題を引き起こすことに関連する思考スタイルを非合理的な信念とよぶ。合理情動療法では,ABCシェマの構造について学び,非合理的な信念を見出してそれに代わって問題を軽減させる思考,つまり合理的な信念を使用することを勧める。信念の変更に抵抗のある場合には論争を行う。そのうえで問題の生じる場面で実際に合理的信念を行わせる宿題を課す。以上のように,合理情動療法は認知的構えを変更させる手法が主体であり,そのことで行動の変容を図っており,認知行動療法の発展に大きな影響を与えている。


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