自衛隊と日米安全保障条約
出典: Jinkawiki
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今日、わが国には自衛隊があり、PKOへの参加、海外でのアメリカ軍などへの後方支援が行われており、第9条のもとでの自衛隊と日米安保体制下での防衛のあり方などが、憲法改正の焦点として論議されている。
目次 |
第9条と自衛隊をめぐる論議
1、自衛隊と第9条の政府解釈
政府の解釈は、自衛隊の既成事実化に合わせて、これを説明するために次第に拡大されてきた。
2、政府批判
平和主義の空洞化に対して、さまざまな批判がある。
①憲法は自衛権そのものを否定しているとする説。
②9条1項で侵略戦争を、2項で自衛戦争も放棄している。自衛権は国際法上の国家固有の権利として日本ももつが、軍事力による自衛は否定され、自衛隊の実力は戦力にあたり、違憲とする説。
③自衛のための最小限度の実力は憲法で禁じる戦力ではないとしても、自衛力と戦力の区別がつきにくく、既成事実が承認されて防衛力増強に歯止めが利かなくなるという考え方。
日米安保体制
東西冷戦の下、1951年に、共産圏を仮想敵国とする日米安全保障条約が結ばれ、日本は、アメリカの極東戦略に組み込まれた。
1、1960年の改定
当初の安保条約は、占領軍を駐留軍として存続させていく面が強く、1960年に改定された。主な特徴は、次の通り。
①日本の防衛力の増強が義務付けられた。
②在日アメリカ軍の駐留目的が日本国の安全に寄与することと、極東の平和・安全に寄与することの二つとされた。
③日本領域内への、いずれか一方に対する武力攻撃に対し、両国は共同防衛の義務を負うことになった。
④在日米軍の配置や整備の重要な変更、戦闘行動のための基地の使用などについて、日米両国で事前協議をすることになった。
2、日米安保条約の変質
日米安保条約は、日本の領域をアメリカ軍の支援で防衛する代わりに、アメリカの極東戦略の軍事拠点として、基地とその維持費用を提供するという取引である。しかし、日米安保体制は、しだいに、日本の領域外に自衛隊が派遣される方向へと拡大している。
参考文献
- 変貌する自衛隊と日米同盟:9条2項の抹消で「軍事国家」は完成する 梅田正己著
- 現代アメリカの軍事戦略と日本 山田浩著