公民権法
出典: Jinkawiki
1960年代初め以来の黒人差別撤廃運動の高まりのなかでジョン・F・ケネディ大統領が提案し、リンドン・B・ジョンソン大統領によって制定された包括的な法律で、選挙の投票、公衆・公共施設の利用、公教育、雇用の分野で黒人にも白人との同権と機会均等を保障しようとした。これらの平等な権利保障を実現するために、司法長官に連邦裁判所への提訴権を与え、連邦政府援助の活動・事業における差別を禁止し、調査や斡旋を行う公民権委員会の拡大と平等雇用機会委員会の設置を定めている。
背景
ジョン・F・ケネディの後を継いで大統領となったリンドン・B・ジョンソン副大統領は、大統領就任後間もなく、米国における根強い悪のひとつである人種差別の根絶に向けて全力を傾注した。ジョンソン大統領は、1963 年にケネディ大統領が提案した法律を連邦議会が制定するよう促した。この法律は、すべての米国民の投票権を保証し、何人に対しても人種または宗教を理由にホテル、レストラン、およびその他の公共の場所への入場を拒否することを処罰の対象となる罪とし、人種的に統合された学校の実現に向けた動きを加速させ、すべての人々に平等な雇用機会を保証する手段を提供するものだった。議会での長期間にわたる討論の末、この法案は1964 年に上下両院で、ともに圧倒的多数で可決された。この法律はこれまで制定された公民権法の中で最も広範囲に及ぶもので、米国の立法史上、画期的な出来事であった。ジョンソン大統領は、この法案の大統領署名に先立ち1964 年7 月2 日、米国民に向け声明を放送で発表した。
参考文献:大谷 康夫 著 『アメリカの黒人と公民権法の歴史』