前田慶次郎利益
出典: Jinkawiki
傾奇者の慶次
前田慶次は自由の美学を貫いた風流武者であり、天下一の「傾奇者」と呼ばれていますが、数々の奇行が伝えられていますのでいくつか紹介します。
・前田利家に茶の招待をしましたが、茶の前に風呂を勧めます。寒い日に風呂は何よりの馳走と湯殿に入りましたが、寒風が容赦なく吹き込み、湯舟には薄氷が張っていました。利家が激怒したのは言うまでもありません。
・上杉に仕えた時、慶次は旗指物に「大ふへん者」と書いていましたが、上杉の将兵は「大ふへん者」を「大武辺者」という意味と思い込み、「自らを大武辺者と称するのは怪しからん」と抗議しますが、慶次は「お主らは大武辺者と読んだのか。それは違うぞ。わしは浪々生活が長引いたので大不便者と記したまでだ」と頓智のきいた答えを返しました。
・米沢城下を荒しまわる鼻毛の長い大男がいました。慶次は「その鼻毛を一両で買おう。早く伸ばせ」と、下肥を顔にかけて懲らしめ、金を与えて改心させました。
・上杉氏の菩提寺の林泉寺の住職が横柄だと聞けば、頭を張る賭け碁を仕掛けてその碁に勝ち、住職を殴って気絶させました。
など、まだその他に伝えられている奇行は多くありますが、上杉景勝が米沢へ削減された慶長6年(1601)、京から米沢までの「道中日記」や、遺された和歌などから、慶次の文才の一端を窺うことができます。