ノーマライゼーション2
出典: Jinkawiki
1959年、デンマークで起こった障害者運動で生まれたことば。バンク=ミケルセンは次のように提唱している。
「障害者を排除するのではなく、障害を持っていても健常者と均等に当たり前に生活できるような社会こそがノーマルな社会である」
のちに ベングト=ニィエリ(スウェーデン)により世界中に広まり、1970年代に日本で注目されるようになった。
8つのの原理
ノーマライゼーションには8つの原理がある。
・1日のノーマルなリズム
知的障害者に1日のノーマルなリズムを提供すること。
・1週間のノーマルなリズム
ノーマルな生活上の日課提供すること。
・1年間のノーマルなリズム
家族とともに過ごす休日や、家族単位のお祝いや行事等を含む、1年のノーマルなリズムを提供すること。
・ライフサイクルでのノーマルな経験
ライフサイクルを通じて、ノーマルな発達的経験をする機会を持つこと。
・ノーマルな要求の尊重
知的障害者本人の選択や願い、要求が可能な限り十分に配慮され、尊重されなければならない。
・異性との生活
男女が共に住む世界に暮らすこと。
・ノーマルな生活水準
知的障害者ができるだけノーマルに近い生活を得るための必要条件とは、ノーマルな経済水準が与えられることである。
・ノーマルな環境水準
病院、学校、グループホーム、福祉ホーム、ケア付きホームといった場所の物理的設備基準が、一般の市民の同種の施設に適用されるのと同等であるべきである。
誤認
ノーマライゼーションの原理について誤認されやすい面がある。特に以下の6つの誤解を招きやすい。
・ノーマライゼーションは人々をノーマルにすることである。
知的障害者が普通にすることを意味するのではなく、個人の個性を発揮したり、選択する機会も含めて、社会のほかのメンバーのライフスタイルとこの上なく近いライフスタイルが可能になるような機会と援助が提供されることを意味している。
・特別なサービスはノーマライゼーションの原理に反している。
地域社会での他の人の生活状態と日課にできるだけ近いものを可能にするために必要ないかなるサービス、トレーニング、そして援助をも提供することであり、必要とする特別なサービスを求めることである。
・ノーマライゼーションは支援なしに人々を地域の中に投げ出している。
知的障害者支援が必要なのにも関わらず、何の支援も整ってない地域で暮らすべきであるという意味ではなく、知的障害者の生活が地域の他のメンバーの生活にどれだけ近付いているかということである。
・ノーマライゼーションは受け入れるか受け入れないか二つに一つしかない概念である。
ノーマライゼーションとは全く自立した生活のみを意味するのではなく、程度があり、一人ひとりの願いや能力に応じた援助の程度と内容を供給することを意味している。
・ノーマライゼーションは軽度の知的障害者にしか適用できない。
ノーマライゼーションの原理はすべての人に適用されており、重度の障害者にとっても意義深いものである。
・知的障害者は社会の厳しさから守られるために同様の人々と共に保護されるのがよい。
いかに善意をもったものにせよ、人々を保護するという名の下に、巨大な保護施設や精神病院を作らせることになるため、事実とは明らかに反している。
参考文献
『ノーマライゼーションの原理 普遍化と社会変革を求めて』 ベンクト=ニィエリ 現代書館
『北欧のノーマライゼーション エイジレス社会の暮らしと住まいを訪ねて』田中一正 TOTO出版