事実婚
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事実婚
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事実婚とは
内縁という言葉があるが、事実婚とは、婚姻届を提出していないため法律の定める手続きを経ておらず、法律上婚姻関係にないが、日常生活において事実上婚姻関係にある状態を指す。法律婚、つまり法の定める手続きをふんでいる結婚の場合の配偶者と、事実婚の配偶者とでは、差別されている点と同等の権利が保障されている点がある。
同等の権利が保障されている法
国民年金法 第5条8項 この法律において、「配偶者」、「夫」及び「妻」には、婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含むものとする。
厚生年金保険法 第3条2項 この法律において、「配偶者」、「夫」及び「妻」には、婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含むものとする。
社会保障の中には上記のように事実婚の夫婦にも法律婚の夫婦と同等の権利が保障されている。
事実婚への差別と問題点
まず、相続の問題が挙げられる。法定相続人は法律上の配偶者に限定されている。(民法890条・900条)日本では一夫一婦制をとっているため、法的な婚姻関係にある配偶者と、内縁の配偶者は区別される。
もう一つ、大きな問題は非嫡出子の問題である。事実婚の夫婦の間に生まれた子どもは嫡出子とは認められず、非嫡出子となる。この嫡出子と非嫡出子のもつ権利は大きく違う。非嫡出子の相続分は嫡出子の2分の1と定められている。婚内子と婚外子の差別は法律の中や制度の中にいくつも残っている。
事実婚以外の選択肢
事実婚でも法律婚の場合と同じように権利が保障される仕組みとして、ヨーロッパではPACSを導入している国がある。PACSについて詳しくはPACSの項を参照してもらいたい。おおまかには、3つの特徴がある。
1.結婚とほぼ同等の法的保障が得られる。
2.2人の成人の自由な結びつきであり、性別を問わない。
3.パートナーに対する義務を伴う―相互扶助など。
結婚していないことの障害や少数派の不利、不便を解消するてだてになる。
PACS(Pacte civil de solidarite)
参考文献
総務省法令データ検索システム(2010/02/11) 法令データ検索システム
高橋朋子・床谷文雄・棚村正行編『民法7 親族・相続』有斐閣 2007/10/5 第2版
渋谷秀樹・赤坂正浩著『憲法1 人権』有斐閣 2007/4/1 第3版
ロランス・ド・ペルサン著 斉藤芙美子訳『パックス―新しいパートナーシップの形―』緑風出版
written by oimo