家計
出典: Jinkawiki
←前の版 | 次の版→
家計とは、企業や政府と並んで、国民経済を構成する経済主体で、自らの意志によって経済活動を営む主体の一つである。家計は、勤労、事業、財産運用などによって収入を得、それを支出して消費・貯蓄を行うものだが、同時にその収支そのものをも意味する。
目次 |
家計収入
世帯の収入としては、世帯主の勤労・事業所得、配偶者など世帯員の勤労・内職所得、そのほか財産収入、受贈などがある。これらのうち世帯全員の勤労所得を示す国民所得上の「賃金・俸給」は、1997年の約242兆円をピークに減少を続け、今後もしばらく減少が続くと予想される。これは20世紀末の日本を襲った構造的不況のためである。また第一次石油ショック(1973)後、世帯収入に占める世帯主収入の比重が低下し、その他の世帯員収入の比重が上昇した。それは低成長下に世帯主収入の伸びの鈍化を補うため、また女性の社会進出に伴い、主婦のパートなどが増加したためである。家計調査(勤労者世帯)によれば、家計の経常収入に占める世帯主収入の比重は、1976年(昭和51)の86.7%から2008年の82.8%と一貫して低下している。今後も世帯主の賃金カット、失業などによる所得喪失と、それを補う非世帯主収入増加のため、この傾向が続くであろう。 次に国民所得上の家計の「財産所得」は、企業業績悪化などによる配当減少と超低金利により、1991年度の59兆1088億円をピークに減少を続け、景気拡大局面にあった2006年度でさえ26兆5485億円と半分にも満たない水準である。
家計支出
世帯の支出は、日本の家計調査では、食料、住居、光熱・水道、家具・家事用品、被服および履物、保健医療、交通・通信、教育、教養娯楽、その他の10費目に分けられる。 家計支出が示す消費生活水準を、国際間、異時点間で比べるとき、エンゲル係数がよく用いられる。所得水準が上昇するにつれて消費生活の内容が向上するが、それは、消費支出に占める食料費の割合、すなわちエンゲル係数の低下によって示されるものである。日本のエンゲル係数は1975年に30%を割り、以後も低下を続けて2006年には21.9%になっている。
家計支出の前記10費目のうち前半の5費目は物的支出であり、残りはサービス支出である。所得水準が上昇するにつれて後者の比重が上昇することが経験的に知られているが、日本の家計調査では1980年にそれが50%を超え、以後増大を続け、2008年には57.5%に達している。こうした家計消費のサービス化は、今後とも進展すると予想される。
先進国では、所得の上昇とともに消費性向(可処分所得に対する消費支出の割合)の低下が法則として認められている。日本でも同様に、家計調査によると1990年75.3%から可処分所得がピークに達した1997年72.0%と低下していたが、同所得が減少に転じた1998年71.3%、1999年71.5%とピーク時より低下している。これは将来不安のため消費を切りつめて貯蓄しておこうという心理の現れにほかならない。そしてこのことが、日本の消費を縮小させていることも疑問のないところである。しかしながら、2000年以降は前記の法則どおりに1997年のピーク時を上回っている。
家計と企業の関係
家計は企業が生産したモノやサービスを消費している。家計において消費が行われなくなったら、モノやサービスは売れなくなるから、経済は停滞してしまうので、消費も大事な経済活動の一部である。 また、家計は企業の生産活動にも影響を与えている。消費者である家計は「こんなモノが欲しい!」というニーズを持っている。消費者のニーズに合わないモノやサービスは売れないため、企業としては消費者の要求に敏感にならざるをえない。つまり、家計(消費者)は、企業の生産活動の動向を左右する存在とも言える。
家計と政府の関係
政府は税金や社会保険費用を企業や家計から徴収し、政府サービスを提供し、また家計に社会保障、企業に補助金を与える。
参考文献 参照文献
財団法人 家計経済研究所 http://www.kakeiken.or.jp/jp/index.html
松浦 克己 (著), 白石 小百合 (著) 『資産選択と日本経済―家計からの視点』 東洋経済新聞社