二宮尊徳2

出典: Jinkawiki

2010年2月12日 (金) 09:33 の版; 最新版を表示
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二宮尊徳翁(公文書では、金次郎、自筆は金治郎)は天明7年(1787)、相模国栢山村(今の小田原市栢山)の豊かな農家に生まれた。再三にわたる酒匂川の氾濫で田畑を流され、家は没落し、過労により両親は亡くなり、兄弟はばらばらに親戚の家に預けられた。金次郎は 、朝暗いうちから夜遅くまで汗と泥にまみれて一生懸命働き、その間余裕ができればわずかな時間も無駄にせず勉強をして、先人の教えを理解しようとした。荒地を開墾して収穫を上げお金を貯め、質に入れていた田畑を少しずつ買い戻し、一生懸命努力して24歳までに一家を再興した。 また、毎晩勉強していた金次郎は、読書をするための油代を稼ぐために荒地に菜種を植え、たった一握りの菜種から7~8升の取り入れになった経験や、捨て苗を荒地で丹精こめて育てて、秋には一俵の籾を収穫したことにより、自然の恵みと人の力の素晴らしさを知 ると共に、小さな努力の積み重ねが大切(積小為大)だと学び、これが後の行いや考え方の基になる。 大人になった尊徳翁は、生涯を世の中のためにささげ、小田原藩家老服部家の財政再建をはじめ、藩主大久保忠真候の依頼により分家宇津家の桜町領を復興させるなど、自分の体験をもとにして大名旗本等の財政再建と領民救済、北関東から東北にかける各藩の農村総合的復興事業(仕法)を行い素晴らしい成果をあげた。大飢饉で農村が疲弊しきっていた当時、尊徳翁が仕法を手がけた村々は600ヶ村以上に上り、多くの農村や藩を貧困から救い、独自の思想と実践主義で人々の幸福を追求し、数理、土木建築技術から文学まであらゆる才能を発揮した世界に誇れる偉人である。内村鑑三著『代表的日本人』の中でも、19世紀末、欧米諸国に対して「日本人の中にも、これほど素晴らしい人物がいる」と苦難の時代を救った偉人として尊徳翁は紹介されている。


報徳思想

二宮尊徳(金次郎)が道徳と経済の両立を説いた思想と、それを受け継いだ思想をさす。 二宮尊徳(1787~1856)は相模さがみ国栢山かやま村(現神奈川県小田原市)に生まれ、江戸時代後半の困窮した農村を救うために、農村復興の方法を実践して、東北地方から九州にまで影響を与えた。 尊徳の思想の特色は、自分の利益や幸福を追求するだけの生活ではなく、この世のものすべてに感謝し、これに報いる行動をとることが大切で、それが社会と自分のためになるというものである。 天保14(1843)年に尊徳を慕い、彼の思想を実践する目的で、小田原に報徳社が結成されると、各地でも続々と報徳社が結成されていった。

二宮尊徳の教え

・至誠(しせい)

至誠とは真心であり、「我が道は至誠と実行のみ」(夜話139)という言葉の通り、尊徳の仕法や思想、そして生き方の全てを貫いている精神。


・勤労(きんろう)

人は働くことによって、生産物を得て生きていくことができる。 また、働くことを通して知恵をみがき、自己を向上させることができると説く。


・分度(ぶんど)

人は自分の置かれた状況や立場をわきまえ、それにふさわしい生活を送ることが大切であり、収入に応じた一定の基準(分度)を設定し、その範囲内で生活することの必要性を説く。


・推譲(すいじょう)

節約によって余った分は家族や子孫のために蓄えたり(自譲)、他人や社会のために譲ったり(他譲)することにより、人間らしい幸福な社会ができると尊徳は考えた。


・積小為大(せきしょういだい)

小さな努力の積み重ねが、やがて大きな収穫や発展に結びつくという教え。 小事をおろそかにする者に、大事が果たせるわけがないと尊徳は考えた。


・一円融合(いちえんゆうごう)

全てのものは互いに働き合い、一体となって結果が出るという教え。 例えば、植物が育つには水・温度・土・日光・養分・炭酸ガスなど、いろいろなものの徳が融け合ってひとつになって育つ。



参考文献

・二宮尊徳   守田志郎著  農山漁村文化協会

・二宮尊徳 :財の生命は徳を生かすにあり  小林惟司著  ミネルヴァ書房

・二宮尊徳   http://www.geocities.jp/bane2161/ninomiyasontoku.htm


(投稿者:TR)


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