コーラン
出典: Jinkawiki
←前の版 | 次の版→
概要
イスラム教の根本聖典。アラビア語で正しくはクルアーン。教祖ムハンマドが神アッラーから下された啓示とされる。114章からなり、現在の形にまとめられたのは第3代カリフ、ウスマーンの時である。内容は、神の唯一性(タウヒード)、ユダヤ教やキリスト教とも共通する天地創造から最後の審判に至る人類史のほか、儀礼的規範、徳目・礼儀・作法、婚姻・相続・売買・刑罰などの法的規範まで多岐にわたる。端的に、神の言葉と信じられ、イスラム教徒の全生活、全行動を規制する。
最後の審判
聖書的宗教、とりわけキリスト教における重要概念。英語でThe Last Judgment。世界の終末時に神が人類に下すさばきをいい、メシア(救世主)の到来とともにおこなわれるという。終末論を端的に体現化する思想であり、審判が救済を意味するところに独自性がある。古来、多くの美術作品の主題となりミケランジェロのシスティナ礼拝堂壁画は近代の大作。 <アッラー> アラーともいう。イスラム教でいう神の呼称。正確にはアッラーフ。イスラム以前のアラビア半島には多くの神々がいたが、イスラムでは万物を創造し、かつ滅ぼすこともできる至高神が唯一の神とされ、その超越性が強調される。コーランはその絶対性と全知全能などの属性を語る。
ムハンマド
イスラム教の開祖。日本ではマホメットとも。アブラハム、モーセ、イエスに続く最後の預言者とされる。カーバ神殿のあるアラビア半島の町メッカのクライシュ族の名門ハーシム家に生まれるが、誕生前に父を、幼児に母を失う。25歳頃裕福な未亡人ハディージャと結婚。40歳頃、初めて神アッラーの啓示を聞き、これを説いて信徒集団を形成し始める。しかし、カーバの偶像崇拝を否定したい商人を批判したため迫害され、622年70余名の信徒とその家族とともにメディナに移住(ヒジュラ)し、イスラムの教団国家を建設する。始めその土地のユダヤ教の儀礼を取り入れるが、のちユダヤ教と対立、独立のイスラム儀礼を確立していく。一方、対立を続けていたメッカと再三戦い、630年メッカを征服、周辺諸部族やキリスト教徒、ユダヤ教徒に勢力を広げて、アラビア半島全土に影響力を及ぼす。632年メッカに巡礼し、メディナに戻って死去。ハディージャとの末娘はファーティマ。メディナ時代には、10人を超える妻がいた。ムハンマドに下された神の啓示の集成がコーランであり、彼の言行(スンナ)および、その伝承(ハディース)も重視される。