フォルケホイスコーレ3

出典: Jinkawiki

2010年2月13日 (土) 11:39 の版; 最新版を表示
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デンマークに150年ほど前からはじまった自由な学校で、その言葉は『民衆(国民)の大学』を意味する。近代デンマーク精神の父、グルントヴィによって構想され、今日のデンマークを築く原動力となった。数十人規模の学校が主流で、現在100校を数え、また世界にも拡大している。「フォルケホイスコーレ」の精神は『対話と相互作用』であり、その目的は文化的な、あるいは『フォルケリ(民衆的)』な豊かさを創造してゆくことと定義される。

特色は、試験というものを絶対にせず、単位や資格の付与もなく、教師と学生が寮で共同生活をし、書物よりも対話を中心に、生そのものを学び、社会性を自覚するということがあげられる。そのため、『自由学校』『生のための学校』とも呼ばれる。日本での高校卒業に当たる満十七歳以上の人なら、性別、年齢、生涯の有無、国籍を問わず、誰でも入学でき、学期は二カ月の短いものから、最長八か月までいろいろあり、好きなだけ更新できる。なにか技術や知識を習得することに主眼があるのではなく、あくまで授業や討論、実践、実習、生活を通して、自己発見をし、これから生きる自分の道を探すことに力点がおかれている。

「フォルケホイスコーレ」はひとつの自由な教育の体系を持ち、幼稚園、「フリースコーレ」と呼ばれる小学校、「エフタースコーレ」と呼ばれる寮生活を主とする自由な中学、それに「フォルケホイスコーレ」と普通の小中学校の教員免許がとれる教員養成大学、および学位なども取得可能なフォルケアカデミーと呼ばれる研究所をもっている。    日本ではかつて『国民高等学校』と訳され、大正時代から昭和の初めにかけて、農村振興の模範例として紹介された歴史がある。しかし、天皇制ファシズムにより、正しい理解が阻害され、その自由と人間解放を目指す精神は根づくことはなく、戦後も大きく注目されてこなかった。

デンマークの「フォルケホイスコーレ」は、健全な発展を遂げながら、現在は発展途上国や東欧諸国での民衆の解放教育にも取り入れられるなど、その運動は世界に拡がっている。今日では、世界的な環境問題・エネルギー問題に際し、新しい社会・人間のあり方の模索に、運動全体として取り組んでいる。


参考文献 『生のための学校』(信評論)清水満


  人間科学大事典

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