学生相談
出典: Jinkawiki
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概要
学生相談の具体的な臨床活動は、大別すると、カウンセリング、サイコセラピー、ガイダンス、コンサルテーションに分類することができる。カウンセリングは、クライエントの訴える問題が性格や対人関係における問題といった、主として自己理解に関わる事柄である場合が対象となる。また、サイコセラピーの対象は、何らかの精神疾患に関わる問題が主となっている学生であり、ガイダンスやオリエンテーションは、学生生活全般に関わる問題が主となっている場合に有効とされる。
学生相談の成り立ち
わが国における学生相談は、1951年、戦後の教育改革の一環として行われたアメリカの教育使節団による学生サービスに対する指導・助言に端を発する。これを受けて53年に東京大学に学生相談所が開設された。その後。58年には「学徒厚生審議会答申」によって、大学は修学の場であるのみならず「人間として育っていくことを援助する場」であると規定されたことから、そのための援助を行う大学の機能として学生相談活動が各地で活発化していった。昭和40年代になると、各大学に保健管理センターが設置されはじめ、現在では学生相談は学生保健サービスという広義の健康支援の一環として位置づけられている。
学生相談の機能
一般に青年期は自我同一性の確立期にあるとされる。確立途上であるがゆえに生じる精神的な不安定さは、就労者、学生いずれにおいても共通である。しかしながら、大学生は、履修、研究、場合によっては生活そのものを個人の力量によってコントロールしていかなければならない。このために大学には、学業、生活といった現実的な問題から、「人間として育っていく」ための背景となる人生観や将来像などの、いわば個人の存在そのものにかかわる問題まで、きわめて幅広い援助を行う機能が求められる。したがって、学生相談は学生個々を対象としたカウンセリングによる援助はもちろんのこと、カウンセラーによって行われるより広範な業務、すなわち教職員あるいは家庭などに対するコンサルテーション、関連機関と大学、家庭を結ぶネットワークのコーディネート、さらには教職員に対する啓発活動などの多様な活動を総称しているということになる。
参考文献
坂野雄二(編) 臨床心理キーワード[補正版] 有斐閣双書,2000