神隠し
出典: Jinkawiki
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子供などが急にみえなくなることをいう。以前農村などにはよくあったことで、これを天狗(てんぐ)にさらわれたなどといって、村中総出で鉦(かね)・太鼓(たいこ)をたたいて捜した。なかなかみつからないが2、3日してひょっこり帰ってくることがあった。話を聞いてもうろ覚えのことが多い。神隠しに会ったものには、そのまま帰らなかった者と、無事に帰ってきた者とがあるが、帰ってきた者の中にも、数時間、数日、数年とその期間はさまざまである。 神隠しにあって、無事に帰った者は、行方不明になった場所からはるか離れた所や、登り得ないような高い木の上、人の滅多に行かないような山中で発見されたりしている。こうした人々の話しによると、天狗に連れ去られ山中をさまよい歩き、樹上で寝起きをさせられたとか、僧の姿をした大男に導かれ一緒に空を飛び回ったとか、美しい所へ連れて行かれご馳走をふるまわれたということだ。 大人の場合には、すこし愚鈍の男というのがよく神隠しにあう。狐(きつね)にさらわれたといって稲荷(いなり)神社に願ったり、稲荷下げに頼んだりする。稲荷神に願うと狐が罰せられるので、すぐ返してくれるという。天狗は子供が好きだといって、子供を連れて空を飛んだり川を越したりする。神隠しを捜すのに枡(ます)の底をたたいて捜す。天狗はその音がたいへん嫌いだという。沖縄にも神隠しの話がよくあり、物迷いという。モノというのは一種の霊で、それに誘われてあちこちを連れて歩かされる。多く夕方から夜中にかけてのことである。モノに迷わせられると普段歩けないところも通って行く。水面や断崖(だんがい)などを飛ぶとき、屁(へ)をひると落とされるので危険である。モノにさらわれると赤豆飯(あずきめし)を食べさせられるが、それは赤土である。家に戻ってきた後の便をみると、赤土が混じっているという。東北地方などによく大人が急にみえなくなった話がある。女の場合が比較的多く、山男に連れ去られその女房になったという。そういう者は一度だけ村に姿をみせることがあるが、ふたたび姿を隠して行方が知れなくなってしまうという。
このように、異界の存在を信じていた人々は、原因不明の行方不明者の失踪理由を、神隠しとして、山の神である天狗を介入させて説明していたわけである。
参考文献
Yahoo!百科事典 http://100.yahoo.co.jp/detail/%E7%A5%9E%E9%9A%A0%E3%81%97/