国際原子力機関(IAEA)
出典: Jinkawiki
←前の版 | 次の版→
目次 |
国際原子力機関とは
略称IAEA(International Atomic Energy Agency) 原子力の平和利用を促進すること、そしてIAEAを通じて提供された原子力援助が軍事利用されないための保障措置を実施する国際機関。国連機関ではないが、強い協力関係にある。1953年の国連総会で、アイゼンハワー米大統領が平和利用のために原子力技術を開放する「アトムズ・フォー・ピース」演説をし、設立を提唱。発足したのは57年ジュネーブ。本部はオーストリアのウィーン。総会と理事会、事務局からなる。また、05年度のノーベル平和賞をエルバラダイ事務局長とともに受賞。IAEAが行ってきた核査察活動が評価されたためだが、核拡散の動きが強まる中でIAEAの今後の役目の重要性もノーベル賞委員会は授賞理由で強調した。職員数は約2300人。10年現在、加盟国は151カ国。2009年からの事務局長は、日本人の天野之弥氏。
主な目的
• 核不拡散条約(NPT)などに基づく核物質軍事転用防止のための保障措置活動
• 原子力施設などに関する国際的な安全基準や原子力の安全に関する条約の策定
• 旧ソ連、中・東欧諸国、アジア諸国などに対する安全対策支援
• 原子力発電所に対する安全レビュー活動
• 国際的な原子力事故情報システムおよび支援体制の整備
• 原子力情報の交換の迅速化
• 研修員の受け入れ、専門家の派遣などによる開発途上国への原子力平和利用に関する技術および知識の普及
事業内容
1)原子力の平和的利用
原子力の平和的利用に関するIAEAの事業は、原子力発電、非原子力発電(環境、保健、水資源、鉱工業、食品、農業等における放射線の利用)及びこれらの利用の安全・セキュリティに係る分野に大別される。また、これらの全ての分野において開発途上国に対する技術協力活動の実施。
2)保障措置の実施
IAEA憲章では、IAEAを通じて核物質等が提供された場合には、これらの核物質等がいずれかの軍事目的を助長するような方法で利用されないことを確保するために保障措置を設定し、かつ実施すること。また、1970年3月に発効した核兵器不拡散条約(NPT:Treaty on the Non-Proliferation of Nuclear Weapons)が、締約国である非核兵器国に対し、IAEAとの間で、平和的原子力活動に係るすべての核物質を対象とする包括的保障措置協定を締結するよう義務付けを行った。NPT締約国は現在我が国を含めて190ケ国であり、包括的保障措置協定締結国は2010年3月現在、我が国を含めて164ケ国。 また、統合保障措置(IAEAがその加盟国で保障措置下におかれた核物質の転用を示す兆候も未申告の核物質および原子力活動を示す兆候もないとの「拡大結論」を導出する必要)を我が国は、2004年6月のIAEA理事会において「拡大結論」が出され同年9月より適用が始まった(大規模な原子力活動を行う国に対する統合保障措置の適用は初のケース)。
具体的な事業としては、旧ソ連のチェルノブイリ原発事故報告書の検討と放射能汚染地域の住民健康調査、湾岸戦争後のイラクの核開発査察、北朝鮮の核開発疑惑での査察。2005年には、それまでの査察などによる軍事転用防止から一歩踏み込んで、民生用のウラン濃縮とプルトニウム抽出の国際管理を提案している。
現在抱える課題
保障措置の分野では、設立以来、核兵器国を中心に専門家の間ではさまざまな善・強化策がとられてきているが、21 世紀に入ってこの数年間に集中して起こったイラク、北朝鮮、リビア、パキスタン、イランを巡る一連の事件によって、核拡散防止体制の強化とIAEA の役割が国際社会の中心的な課題に変わってきている。一連の事件で示されたこの体制の欠陥の深刻さは、追加議定書によるIAEA の保障措置強化のみに限らず、国連安全保障理事会改革、NPT 非加盟国・脱退国対策、核兵器国の軍縮,核物質・核技術の輸出入管理体制整備、サイクル事業の国際化などの直接的対応に加えて、地域の安全保障上の脅威削減・信頼醸成のための、間接的だが根本的対応も必要としている。また、従来の国家間の拡散を対象とする取り組みのみでなく、テロリストを含む非国家的主体による国境をも越えたネットワークを対象とした核拡散防止も新たな課題である。
技術協力の分野では、原子力エネルギーと、その他分野の原子力技術の利用促進がある。原子力発電は、アジアを中心とする世界経済の発展、エネルギー需要の増大、化石エネルギー資源の供給限界、地球環境問題を背景として、新たな大きな開発の動きが出始めている。この動きを次世代炉や革新的サイクル技術を含め、有効に支援するとともに、従来の南北、東西の図式を超えた新たな国際協力が課題である。
安全確保の分野では、チェルノブイリ事故以来、世界共通課題としての安全向上が強く認識され、そのための国際的枠組みとしての条約と行動基準作りや支援・協力事業が精力的に実施されてきている。エネルギーと放射線の技術移転・利用の拡大に伴って、その必須条件として、安全協力の拡充が求められている。
出典
http://www.fepc.or.jp/present/chiiki/kokusaikikan/iaea/index.html
国際原子力機関(IAEA)-原子力に関わる国際機関・条約 電気事業連合会【でんきの情報広場】
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/atom/iaea/iaea_g.html 外務省 国際原子力機関の概要