日本国憲法 2
出典: Jinkawiki
1946(昭和21)年11月3日に公布され、翌1947年5月3日から施行された現行の憲法のこと。 1945年ポツダム宣言の受諾に伴い、日本の民主化・非軍事化は方向づけられたのだが、GHQの指示に基づき、、同年10月に幣原喜重郎首相は、松本烝治・金森徳次郎らに命じ、憲法改正に着手した。民間側でも、高野岩三郎・尾崎行雄らが草案を発表した。政府はGHQの助言を受け、草案を作成し、1946年6月大日本帝国憲法の改正という手続きで第90臨時国会に提出した。特に主権在民の項を明確にして可決された。国民主権、象徴天皇制、戦争放棄、基本的人権の尊重などを規定したものである。
1.形式 【大日本帝国憲法】 最高法規であるが、憲法典は大日本帝国憲法と皇室典範の2つであった(二元性憲法)。 【日本国憲法】 最高法規(一元性憲法)。皇室典範は日本国憲法に従属する。
2.性格 【大日本帝国憲法】 欽定憲法。硬性・成文憲法。 【日本国憲法】 民定憲法。硬性・成文憲法。
3.主権者 【大日本帝国憲法】 天皇(上諭、1条、4条) 【日本国憲法】 国民(前文、1条)
4.天皇 【大日本帝国憲法】 神聖不可侵、統治権総攬者、元首。枢密院・元老・重臣会議等の諮問機関存置。 【日本国憲法】 象徴天皇制。国と国民統合の象徴、形式・儀礼的な国事行為のみを行う。枢密院などの諮問機関廃止。
5.戦争と軍隊 【大日本帝国憲法】 天皇大権による陸海軍の統帥権、宣戦の大権、兵役の義務 【日本国憲法】 平和主義・戦争放棄・戦力不保持・交戦権否認(9条)、文民統制(66条)
6.国民の権利 【大日本帝国憲法】 「臣民」としての権利。法律による留保(制限)。自由権が主体。 【日本国憲法】 基本的人権は永久不可侵の権利。国政上、最大限に尊重。社会権を含めることにより20世紀憲法の特徴を有する。 7.権力分立制 【大日本帝国憲法】 大権中心(天皇に権力集中)(4条、5条、55条、57条)。 【日本国憲法】 権力分立(41条、65条、76条)。
8.国会 【大日本帝国憲法】 天皇の協賛機関。二院制(衆議院・貴族院)。貴族院(皇族・華族・勅任議員等特権階級)は非公選。両院対等。国政調査権の規定なし。 【日本国憲法】 国権の最高機関。唯一の立法機関。(41条) 二院制(衆議院・参議院)。両院とも民選。衆議院優越。国政調査権あり。参議院に解散はない。
9.内閣 【大日本帝国憲法】 内閣の規定なし(内閣官制で規定)。天皇の行政権を輔弼する。首相は天皇が任命(元老・重臣の推薦に基づく)。国務大臣は天皇のみに責任を負う。 超然内閣(官僚内閣)の場合も政党内閣の場合もあった。 【日本国憲法】 行政権は内閣に属す。行政の最高機関。首相は国会の指名。内閣は国会に対して責任を負う。議院内閣制。
10.裁判所 【大日本帝国憲法】 天皇の名において裁判を行う。違憲立法審査権はない。特別裁判所の存在。 【日本国憲法】 司法権は裁判所に属す。司法権の独立保障。違憲立法審査権あり。特別裁判所は禁止された。最高裁判所裁判官の国民審査。
11.改正 【大日本帝国憲法】 天皇の発議→議会の議決(総議員の3分の2以上の出席かつ出席議員の3分の2以上) 【日本国憲法】 国民の発議(各議院の総議員の3分の2以上)→国民投票(過半数)。天皇が国民の名で公布(96条)。
12.最高法規 【大日本帝国憲法】 規定なし 【日本国憲法】 憲法尊重・擁護の義務(99条)。基本的人権の尊重(97条)。
参考文献など 1.『日本史辞典 三訂版』 旺文社 2000年 2.『最新図説 政経』 浜島晃 浜島書店 2007年