遊び
出典: Jinkawiki
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子どもにとって、遊びは楽しみのために行われる活動であり、自分のしたいことをして、過程そのものを楽しんでいる。自由で何の縛りもなく、自発的に行われ、遊びそのものが自己目的であり、子どもの生活そのものであるはずである。保育園では遊びのもつさまざまな教育的価値が内在す総合的な遊びを目指している。 では保育者が適切な子どもの遊びを整えていくためにはどのようにすればいいのか。その前に各年齢の子どもの遊びと、援助の基本を知っておく必要がある。
ⅰ 三歳児の遊び
三歳児と遊ぶためにまず保育所に安心感をもつために保育者との信頼関係を気づくことが必要である。保育者はお母さんのようなエプロンを付けたり、どこの家庭にもあるようなおもちゃをようしたり、子どもの緊張を解くようなしぐさをしたり、ふざけることも大切な遊びである。また先生と手をつないで散歩することや、おんぶや抱っこなどのスキンシップを通じて信頼関係を築いていく。次に感覚に訴える遊びをしていく。特に手で触って心地いいものや、あまり大きくなく自分の手の中にすっぽり入って楽しめるもの、同じ素材やものがたくさんあることも三歳児が遊びに没頭するために必要な環境である。手触りがよくおとなしい生き物(うさぎやカピバラ)や幼児との応答性のある生き物なども幼児の心を和らげ安定させてくれる。全身で探索し没頭できる遊びが望まれる。
ⅱ 四歳児の遊び
四歳児は友達と遊ぶ楽しみが分かってくる。最初は自分から犬や猫になったりテレビの主人公になったりして、一人のイメージから始まる遊びでも、継続して存分に遊べる場や時間が確保され、気の合う友達が集まることによって楽しい遊びに育つ。たとえば、遠足で見てきたコウモリになりきって、一人が雲ていにブラら下がっている幼児に共感した保育者が同じようにぶら下がったことから、ほかの友達が集まりコウモリの行列になった。「飛んでるコウモリみたい」という幼児の発想から黒いビニール袋の羽根をつけたコウモリが生まれて、コウモリ鬼ごっこに発展した。このように四歳児は些細な出来事がきっかけでさまざまなイメージが生まれ、互いにまねしあったり伝えあったりして遊びを深めていくのである。そのなかではもちろん保育者のその時々に合った言葉かけや行動、遊びの仲介や伝達のための役割を見逃すことはできない。
ⅲ 五歳児の遊び
五歳児は、友達と共同してものを作ったり、ルールを作ったり、運動会で発表会など先生と相談して自分たちの力を発揮するなど、保育者にとっても保育所生活の担い手として頼もしく感じる存在となってくる。以前子どもたちが名付けたエンドレス・リレーが熱狂的に流行った。その名の通り終わりのないリレーである。大人の常識では考えられないルールであり、本当に走りたい子どもが思い切り自己課題に挑戦し、満足するまで走りきるのである。次は自分の番だと友達の走りに目を凝らし、共に走りきった喜びを分かち合う友達がいる。そのような子どもと生活を共にする保育者は、安心して任せたり正面きって戦う時もある。時には子どもと同じに、特には頼もしい知恵者の助っ人としてその存在を示すのが良い。
ⅳ 遊びの援助の在り方
保育者にとって子どもの遊びを援助するために心がけることは以下の事柄である。
① 保育者の子ども観、遊び観を確かに……一人ひとりの子どもを信頼し、生活の主人公として認め、子どもを肯定的にみる。保育者こそ子どもの見方であるべき。
② 子どもと共に生活する……遊びを見直し、ねらいを明確にもつためには、子どもとともに体を動かしたり、考えたりして活動することで保育者自信が子どものモデルとなったり、遊びの発展へのきっかけとなることが必要である。
③ 計画的な環境の構成と、状況を作り出すこと……環境の構成は、遊びにおける保育者の重要な役割のひとつである。環境の構成とは、ただ単に物を並べたり材料を準備することだけではない。遊びの展開を見通し、計画的に環境を構成しなければならない。その上でそこにかかわる幼児と保育者との相互作用により環境を再構成し、遊びが発展する状況を作り出すことです。
④ 時間的、空間的、情緒的ゆとり……遊びが育つためには計画の段階で指導計画の最小単位である一日の流れがゆったりとしており、十分に遊べる時間が保障されていることが必要である。遊びの空間的ゆとりは情緒的な安定をもたらし、幼児自身が生活のリズムを作り出す。さらに子どもの生活のリズムに着目して、保育者がリズムを考えることも重要である。
以上、保育者が子どもの遊びの環境を作るために知っておく、心がけておくべきことである。