フィンランドの教育4

出典: Jinkawiki

2012年2月8日 (水) 14:19 の版; 最新版を表示
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フィンランドは、生活水準の高い福祉国家であり、また、OECDの実施した学習到達度調査で好成績を修めている。 好成績を修めているからといっても、決して「詰め込み教育」をしているわけではなく、 のびのびと自由に、しかし筋の通った骨太な教育をしている。大きなポイントは2つ。


まず1つ目は、フィンランドでは授業内で、マインドマップを使う機会が多い。 マインドマップとは、表現したい概念の中心となるキーワードやイメージを図の中央に置き、 そこから放射状にキーワードやイメージを繋げていくことで発想を延ばしていく図解表現技法のことで、 この方法によって複雑な概念もコンパクトに表現でき、非常に早く理解できるとされている。 先生が、生徒に何かアイデアを出させるとき、5分もたたないうちにノートは各自の思いつきで埋まってしまうという。 日本では、国語の授業内で1~2時間、簡単に触れて終わってしまうような内容だが、 フィンランドでは、小3~4年生の授業で、このマインドマップの書き方を徹底的に練習させ、発想の道具としてではなく分析の道具としても用いられている。


 2つ目は、先生が生徒を攻撃することだ。攻撃と言っても、暴力などではなく、生徒の発言に対して、徹底的に「ミクシ?(どうして?)」と尋ねる。 文法の問題でも、「○○の品詞は何ですか?」という問いに、生徒が「○○は名詞です。」と答えると、先生はすぐに「では名詞とは何ですか?」と質問してくる。 小学校で母語を外国語のように教えることで、すんなりと頭に入れられるようにするためだという。また、集団での問題解決を重視していて、 特に義務教育段階では、一人で問題解決して結果を出すことよりも、グループで問題解決を目指していくプロセスを評価している。 ここでの話し合いは価値観の共有を前提としないコミュニケーション力の育成を目的としている。コミュニケーション力を習得するため、 集団で問題解決を図る対話、特に授業においては、徹底的に「なぜ?」を問い、徹底的に「なぜか」を説明することが求められる。 単純な方法だが、価値観の共有を前提としなければ有効に機能するのである。徹底的に、「ミクシ?(どうして?)」と尋ねることで、 コミュニケーション能力・思考能力が養われる。


フィンランド教育が重視する集団での問題解決力と価値観の共有を前提としないコミュニケーション力は、 次世代を担う子どもたちが今もっとも必要とする技能である。 この技能は、人間の「ともに生きる力」として、すべての国で育んでいかなければならない。 その先駆としてフィンランドの教育は大いに参考になると言える。


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