フォルケホイスコーレ6
出典: Jinkawiki
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フォルケホイスコレとは
フォルケホイスコレとは、19世紀半ばにデンマークで、グルントヴィによって創始された学校である。語義的には「民衆の大学」を意味する。プロシャとの戦争に破れて、国力の衰えたデンマークを精神的に再生させる原動力となり、国際的に広く、民衆教育の学校として広まっていった。経常費の約8割を行政からの援助によりまかない、財政的には公立学校に近いものになっている。しかし、カリキュラムや人事など、学校の内容や運営については、行政は一切関知できないことになっており、その点では行政から独立している。現在、デンマーク国内にはおよそ80校のフォルケホイスコレがある。
フォルケホイスコレの仕組み
フォルケホイスコレは18歳以上なら文化国籍を問わず誰でも入学することができる。入学のための試験も一切ない。また入学後も試験は一切ないため、生徒一人ひとりが学ぶ意味や目的を見つけ出して能動的に学ぶことができる。卒業することで何か資格を得られるわけではない。まさにただ純粋に学びたい人が学ぶための教育機関である。国際的には成人教育機関として受け取られており、カルチャーセンターと捉えられがちであるが、デンマークでは履歴書にも書くことができ、スウェーデンやフィンランドでは資格も取れる専門学校的扱いになっている。寄宿制をとり、生徒は皆、学校で生活を送りながら学ぶ。また、教師も数名、生徒と共に生活を送る。これは、学びとは教室の中だけのものではなく、日常生活の中や生活を通した対話の中にあるものだという考えに基づいている。カリキュラムは、現在ではほとんどのフォルケホイスコレで専門的なコアをもったものが扱われている。その領域は、社会科学の専門、芸術、趣味、スポーツなど多岐にわたり、生徒が学びたい内容を選択して入学して学び、寮で共同生活をしながら数ヶ月を過ごす。平均はだいたい3~6ヶ月ほどであるが、最大で10ヶ月在学することができる。様々な国籍や文化をもつ仲間と共に、インターナショナルな環境のなかで、多様性に触れ、自分の学びたいことをのびのびと学ぶことができるのがこの機関の特徴である。
日本とかかわり
フォルケホイスコレは、戦前の日本においても、加藤寛治らにより「国民高等学校」としていくつか作られた。グルントヴィから影響を受けた内村鑑三や賀川豊彦などの弟子筋である松前重義がこの学校にならって起こした東海大学もその一つである。戦前の日本では、ドイツとの戦争に破れたデンマークが、荒れ地を開拓して農業国家として復活した姿が、農村復興のモデルとして重視されていた。しかし、これは満州事変後満州の開拓団を送り込む尖兵となり、軍国主義に協力したと批判されることとなった。
参考 http://www.asahi-net.or.jp/~PV8M-SMZ/society/hoeskole.html
http://www.asahi-net.or.jp/~fl5k-oot/kokukyo2010-2.pdf