北極のオゾンホール

出典: Jinkawiki

2012年2月9日 (木) 18:43 の版; 最新版を表示
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私たちの地球は「オゾン層」によって覆われている。オゾン層とはオゾンという気体がたくさん集まっている層のことをいう。地球から高さ10~50kmの成層圏にある。このうち最もオゾンの濃度が高い部分は高さ20~25kmあたりとされている。地球には生物にとって有害な紫外線が太陽から降り注いでいる。オゾン層はその有害な紫外線の多くを吸収してくれる。つまり、オゾン層は私たち人間をはじめとする地球上の生き物を守ってくれるバリアーだといえる。そのおかげで、私たちは日々安心して暮らすことができる。ところが現在オゾンの量が極端に少なくなり、まるでオゾン層に穴があいたような状態になる「オゾンホール」と呼ばれる現象が起こっている。オゾンホールの発生が正式に報告されたのは1980年代。南極大陸の上空に8~9月頃に現れ、11~12月に消えるパターンを繰り返している。冷蔵庫やエアコンなどの中に使われている「フロン」というガスが大気中に放出されこれが科学反応を起こしてオゾン層を壊してしまうことがわかっている。モントリオール議定書[オゾン層を守るため1987年にカナダのモントリオールで採択された国際的な取り決め。オゾン層を壊す恐れのある物質を規制することを目的としている。この議定書のもとで、日本を含む先進国は1990年代半ばまでにフロン類の一種「CFC」の生産をやめるなどの成果をあげた。]という国際的な取り決めによってオゾン層を壊す物質を作ったり使ったりしないように各国が努力を続けている。しかし、過去に使用され大気中に放出されたフロン類によるオゾン層への悪影響がいまだ続いている。  オゾン層を壊す化学反応を起きやすくする「極域成層圏雲」は、成層が低温になると発生しやすい。南極は地域的な条件違いなどで北極に比べて上空の気温が低くなり極域成層圏雲ができやすい。つまり、これまでオゾンホールは南極にしか発生しないと考えられてきた。ところが2011年の春、南極からみるとちょうど地球の反対側北極にもオゾンホールが出現したことがわかった。これは北極の上空でも気流の影響などで気温の低い時期が長く続きこの雲が発生したと考えられている。南極がある南半球に比べて、北極がある北半球は緯度の高い地域にも人がたくさん住んでいる。このため北極にオゾンホールができると多くの人の健康に悪い影響を与えると心配されている。北極にもオゾンホールができることを突き止めたのは日本やアメリカなど9カ国でつくる国際研究チーム。10月に観測結果が論文で発表された。それによると、観測用の気球や人工衛星を使って調べたところ、北極圏の成層圏で4月上旬もともとあったオゾンのうち最大で8割が消えてしまったことがわかった。  オゾン層の破壊によって、地球上に届く有害な紫外線の量が増えると、がんの一種「皮膚がん」、目の病気「白内障」などにかかる人が増える。オゾンホールにによる悪影響は人の健康の問題だけではない。海に降り注ぐ紫外線が増えると一部のプランクトンが減り、それをエサにする魚が減るなど漁業にも悪影響が出てくる可能性がある。 http://sankei.jp.msn.com/science/news/111003/scn11100308200000-n1.htm 2012/02/06 閲覧 http://www.nies.go.jp/whatsnew/2011/20111003/20111003.html 国立環境研究所 2012/02/06 閲覧 ジュニアエラ2012年年1月号 朝日新聞出版


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