イスラム文化
出典: Jinkawiki
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a イスラーム文明(文化) イスラーム文明(またはその具体的な内容であるイスラーム文化)は、7世紀のアラビア半島でのアラブ人社会の中に起こった、ムハンマドを始祖とするイスラーム教によって生み出された文明、文化である。その成立時期はヘレニズム文化、さらにオリエント文明やキリスト教文明よりもかなり後なので、先行する文化、文明の要素を多く取り入れてはいるが、それよりもイスラーム教の世界観と倫理観を基盤とした独自性の方が強い。 しかしイスラーム文明をキリスト教文明や東アジアの儒教文化圏との対立という面を強調したり、さらに西欧的近代合理主義との違いを強調して、現代世界をそのような「文明の衝突」として「解釈」することが行われている。たしかに世界史と現代世界の理解の上で、イスラーム文明の独自性を理解することは大切なことであるが、それを異質なもの、排除すべきものととらえるのではなく、その差異を受け入れ、むしろ近代的合理主義の絶対化ではなく、その相対化をはかる観点で見ていく必要がある。それはさておき、次のようにその特徴をまとめることが出来る。 1.融合文明であること:イスラーム文明は先行する西アジアのメソポタミア、エジプト、ヘレニズムの各文明と、征服者であるアラブ人のもたらしたイスラーム信仰、アラビア語とが融合して成立した。 2.普遍的文明であること:アラブ民族の民族宗教として始まったが、イスラームの教えが民族を請えた普遍性を持つゆえに、各地の地域的・民族的特徴を加え、普遍性を強めた。 3.世界的広がり:アラビア半島に起こり、西アジアに広がり、それにとどまらず周辺のヨーロッパや中国の文明にも大きな影響を与え、現在も様々な形で世界中に広がっている。 上の1,2,3は同じことを言っているようであるが、つまりイスラーム文明が現代においても総合的、普遍的、世界的なものであり、けっして「特殊」な「民族的」な現象ではないことを理解する上で指摘されるところである。 世界史的には初期のアラブ人を主体としたアラブ=イスラーム文化だけではなく、その拡大に伴い、イラン=イスラーム文化、トルコ=イスラーム文化、インド=イスラーム文化を内包することに十分に留意すること。
参考文献:イスラム文明の発展 http://www.yk.rim.or.jp/~kimihira/yogo/03yogo0504.htm