ごみ問題

出典: Jinkawiki

2012年8月5日 (日) 21:47 の版; 最新版を表示
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目次

ごみについて

人々の活動に伴って発生するごみは一般的には廃棄物と呼ばれ,自ら利用したり,他人に売ったりすることができないため,不要になったものをいう。具体的には,ごみ,粗大ごみ,燃えがら,汚泥,糞尿など様々なものが含まれている。平成18年度の全国の一般廃棄物の総排出量は,5,202万トンである。 一方,東京都全体の一般廃棄物の総排出量は528万トンで,約1/10を占めている。一人が一日1.1kg強のごみを排出している計算になる。 ごみの量は,ここ10年くらいは,横ばいか徐々に減少してきているが,人口や産業が集中する東京では,大量に出るごみの処理をめぐって,埋立処分場の限界やダイオキシンによる汚染,ごみの焼却により排出される二酸化炭素による地球温暖化など,様々な問題が懸念されている。


ごみ問題の原因

「ごみ」の処理についてさまざまな問題が発生し、また深刻化してきている背景には、その排出量と質の問題を抜きに考えることはできない。 もともと自然の中で、生物・非生物を含めた物質が過不足なく循環している時代や社会では、「ごみ問題」はないといえる。 私たちの暮らす現在の社会で、これほどまでにごみの問題が深刻化している背景には、自然循環の中で対処しきれない膨大な量のものが、安易に廃棄され、しかもその中身がプラスチックを代表とする自然界にはなかった、つまり自然の循環に入りにくい性質のものであるという現状を押さえることが重要といえる。


ごみ問題の現状

ごみが増えた原因はいろいろ考えられるが、耐久消費財の頻繁な買換え、使い捨て型の商品や容器の普及、あるいはオフィスのOA化に伴う紙ごみの増加などがあげられる。一般廃棄物は、人の日常生活に伴って生じる家庭系ごみ、事業系ごみ、およびし尿に分類される。ごみの種類は生活の多様化に伴って増え続けており、不用になった大型の家庭用品など適正処理の困難なごみが問題になってきている。また、産業廃棄物の発生量は一般廃棄物の約8倍となっている。産業廃棄物の種類では、汚泥、動物のふん尿、がれき類が多く、これらが全体の約83%を占めている。産業廃棄物も増加しており、また埋立地が不足していることなどから、不法投棄などによる環境汚染が懸念されている。さらに有害廃棄物の問題もある。日本では、通常水銀、カドミウムなど23種類の有害物質を含む産業廃棄物を有害廃棄物と呼んでいる。有害廃棄物を処理する場合には、特別に厳しい規制に従って取り扱うことになっており、例えば有害廃棄物を埋め立て処分する場合には、遮断型最終処分場と呼ばれる特別な構造の埋立地で処分しなければならいないことになっている。また、有害廃棄物の取り扱いは国際的にも重要な環境問題となっている。さらに、ごみを捨てるところが不足しているという現状も、問題である。廃棄物の処理・処分場が不足している。一般廃棄物の処理では、その処分場、特に最終処分場の確保が大きな問題となってきている。ごみの排出量の増加に伴って最終処分場の残余容量は急激に減少してきている。


ごみ問題の対策

"3つのR" ごみを増やさないようにするために、よく用いられる言葉に"3つのR"という考え方がある。

まず、Reduce(減らす) 当たり前であるが、ごみを減らすために最も重要で効果があるのは、ごみを出さないことである。そのためには、ごみになるものを買わない、利用しないようにすることが重要である。いらないもの、使ってもすぐごみになるもの、などは初めから買わない・利用しないように気をつけなくてはならない。また、使い捨ての製品はなるべく用いないようにする配慮も必要である。簡単なことのようであるが、一般的なライフスタイルを考えると、実際に実行することはかなりの根気が必要となる。

それからReuse(再利用) いらなくなったものを捨てる前に(あるいはリサイクルを考える前に)、その製品の別の利用法がないか考えることが重要である。裏の白い広告用紙をメモ用紙として利用する、空き缶をペンスタンドとして用いる、などはこの再利用の一つである。身の回りに再利用することによりまだまだ利用できるものは数多くある。再利用は広い意味でリサイクルと同様に用いられることもあるが、狭い意味では再利用はそのままの形で別の利用法によりその製品を活用するもので、リサイクルは原料や材料として活用するものである。

そしてRecycle(リサイクル) そして、最後にリサイクルを考えることになる。リサイクルするためには回収の負荷や原料化してもう一度製品を作り直す負荷など、上記の2つに比べれば時間と労力とエネルギーがかかるものである。しかし、ごみとして排出し処分することを考えれば、環境負荷の小さい仕組みである。


参考 http://www.eic.or.jp/library/ecolife/knowledge/knowledge01.html  

年代別ごみの回収方法(ヨーロッパ)

 ヨーロッパの大都市圏では1920年頃から、上の階から落下させたごみ袋を収集するシュートダスト方式が採られた。 また、第一次世界大戦の直後にパリで電動清掃車によるごみの収集が行われた。それまで、ごみは馬が牽いた車で収集されていたのであった。ただし、電動とは言ってもごみを清掃車に積む作業は清掃員3~5人で行われた。当時街のごみ箱は壊れているようなものもあり、犬が残飯を漁っているような状態の時もあったため、その作業はかなりきつい者であったと言えよう。 1935年以降になると、屋根つきの防水清掃車が登場したため、放水車に乗り込むくず屋に仕事はなくなった。その後、圧縮機能を持った清掃車が登場したため一度に回収できるごみの量が増えた。1950年代には、それまで金属でできていたごみ箱が、プラスチックやゴムなどで作られるようになった。それから少し経ってごみが袋に入れて捨てられるようになるが、これも犬や猫にまんまと破かれてしまった。  現在では、蝶番の付いたごみのコンテナを機械によって傾けてごみ収集車で回収している。

デュアル・システム

 ヨーロッパでは、デュアル・システムというものが普及している。それは、包装廃棄物の回収法のことだ。1992年にEUとフランスで、93年にはオランダとオーストリアでこのシステムが開始され、94年時点ではベルギーもシステムの開始が予定された。  ここではこのシステムについてフランスの事例を挙げて述べようと思う。こういった制度が制定された背景には、ごみの量が増えて処理施設が不足しているということが挙げられる。フランスでは、民間企業ではなく自治体がごみを回収し、事業者がその費用を間接的に払うというシステムを採っている。また、このデュアル・システムを当面の間は家庭の包装廃棄物にのみ適応した。さらにはプラスチックを燃やして熱を生み出すこともエコであるとした。

参考文献

・『人間とごみ――ごみをめぐる歴史と文化、ヨーロッパの経験に学ぶ』 カトリーヌ・ド・シルギー著、久松健一編訳、ルソー麻衣子訳 1999年発行 新評論 p.40-42 ・『ドイツに学ぶごみリサイクル――デュアル・システムの意味するもの』 田口正己、竹下登志成著 1994年発行 自治体研究社 p.43-46

H.N:C.K.


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