ジュリアン・アサンジ

出典: Jinkawiki

2012年8月11日 (土) 13:21 の版; 最新版を表示
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アサンジとは一体何者か

 米軍の機密情報や米外交公電を独自に入手し、公開している内部告発情報サイト「ウィキリークス」(WikiLeaks)の創設者兼編集人を務めるジュリアン・アサンジ(41)。アサンジ(Assange)の名前の由来は、中国名の「Ah Sang」(アー・サン=阿桑?)だと、本人は言っている。父方の祖先が、1800年代初頭に中国を離れ、パプアニューギニアあたりを経由して豪州のサーズディ・アイランドに住み着いたという。母方はスコットランド、アイルランド系。ようするに、アサンジはユーラシアン(欧州人とアジア人の混血)ということになる。    ジュリアン・アサンジは1971年に、オーストラリア北東部クイーンズランド州第3の都市であるタウンズビルで生まれた。彼の数奇な生い立ちは、2010年6月7日付『ニューヨーカー』誌が掲載した長文の記事「ノー・シークレット」が詳しく紹介している。それによるとアサンジは、母親が舞台演出家と再婚したことから幼少の頃から転居を繰り返し、14歳までに37回もの引っ越しを経験したという。当然こうした環境では継続的な通学は不可能だったのだが、「正規の教育は権威に対する不健康な尊敬を植え込むことになり、学ぼうという意志を弱めてしまうものだ」という母親の強い信念から、アサンジは学校に通っていない。通信教育や家庭教師を雇うなど、基本的に家庭で教育された。アサンジ自身、本を貪るように読み、独学で多くのことを学んだと述べている。  8歳の時に母親は舞台演出家と別れて今度はミュージシャンとつきあい始め、もう一人男児を産むが、そのミュージシャンの虐待に耐えきれずにまたもや別居。親権を巡って母親とそのミュージシャンが争いを起こし、身の危険を感じた母親とアサンジは、アサンジが11歳から16歳の頃まで、そのミュージシャンから逃げ回り各地を転々と移り住む日々を過ごしたという。  母親と逃げ回っている頃に、借りていた家の前に電気屋があり、アサンジはそこでホームコンピューター「コモドール64」に夢中になり、店に出かけていってはプログラムを書いていたという。16歳の時にモデムを手にし、すぐに最も安全なネットワークにも侵入できる洗練されたプログラマーとして頭角を露わしていく。仲間二人と「国際破壊分子(International Subversives)」というグループを結成し、押収や北米でコンピューター・システムへの侵入を繰り返した。  アサンジは18歳で結婚し、息子を授かった。その間も仲間とハッキングを続けていたが、20歳の時にカナダの通信会社ノーテルのコンピューターへ侵入したことがきっかけで逮捕され、31件に上るハッキングおよび関連するコンピューター犯罪の容疑で告発された。結局最終的には少額の損害賠償を支払うだけで済んだのだが、「元ハッカーで逮捕歴あり」といまでも言われるのはこのためである。


アサンジにとっての大きな出来事

逮捕されるという事件のあと、アサンジは離婚した妻と息子の親権を巡って激しく争っている。息子の親権を巡る自身の主張を州の保険局に却下されたアサンジは、母親とともに州の保険局相手に粘着性のある攻撃を仕掛ける。アサンジたちは「子供を守るための親の調査」なる団体を立ち上げ、保険局の職員と面談してはそのときの会話を密かに録音し記録に残し、情報公開法をフルに活用して保険局の過去の資料を入手し、職員や関係者にビラを配って内部情報の提供を促す活動を始めたのである。そして保険局内の不満分子から内部情報を入手しては「中央データバンク」で一元管理して、州政府相手に徹底した情報戦を続け、10年越しの逃走を経て親権を巡る一定の合意事項を元妻から勝ち取ったのである。    『ニューヨーカー』のこの記事は、この親権を巡る闘争が、ウィキリークスの原点だったのではないかと思わせるような書きっぷりであるが、このように生い立ちをざっとたどるだけでも、ジュリアン・アサンジという人物が極めて得意な環境で生まれ育ったエキセントリックなキャラクターである事が容易に想像できる。公教育を拒否するほど国家の権威に対する激しい反発心を持つ母親に育てられ、義理の父親の暴力に脅え逃げ隠れた経験を持ち、コンピューターにのめり込み高度なハッキング技術を身につけ、政府と戦う上で内部情報を含めた秘密情報がいかに有効かを体験した男。アサンジはまさに、ウィキリークスを立ち上げるべくこの世に生を受けたような存在である。


参考文献

ウィキリークスの衝撃 世界を揺るがす機密漏洩の正体 〔菅原出著 日経BP社〕

日経ビジネス ジュリアン・アサンジって一体何者か〔business.nikkeibp.co.jp〕

The New YOrker〔http://www.newyorker.com/〕 ハンドル名:green


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