学力偏差値
出典: Jinkawiki
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学力偏差値とは?
学力偏差値とは、偏差値(ある数値が全体の中でどれくらいの位置にいるかを示した無次元数であり、平均値が50、統計値のばらつきを表す標準偏差が10になるように規格化されたもの)を応用したものの1つである。学力検査の得点(素点)を全体の平均点および標準偏差により表したものとなる。日本においては、偏差値は{(得点)-(平均点)}÷(標準偏差)×10+50で求めることができる。素点は一度の試験において一名の受験者が試験問題全体のうちどれくらい正答できたかを表す指標であるのに対し、偏差値は試験の難易度の違いに左右されずに生徒の学力・学習進度・受験での志望校への合格の可能性を判定することができる指標である。 偏差値の仕組みが高校受験に導入されたのは、教師の桑田昭三が受験生の合格確率を正確に判断するために独自の研究を重ねて偏差値を考案したからである。以後この指標が重用されたが、1980年代になってから偏差値がその生徒の存在価値であるという位置づけをされて悪用されてしまい、公立中学校での進路指導時に偏差値の使用が禁止されてしまった。しかし、埼玉県の私立高校入試は、全県で行われている北辰テストという学力調査における偏差値の数値によって“確約”という形式で受験前に約束を交わしてから受験するという仕組みが現在でも続いている。
問題点
偏差値は母集団の人数や出来具合によって偏差値に偏りが生じてしまう場合が考えられる。例えば、近年は少子化に起因する志願者減少のため、中位ランクの大学を中心に偏差値の下落傾向が見受けられる。 また、平均点が低く、多くの受験生の得点がその付近に集中しているようなテストで高得点を取った場合には、偏差値が100を超えてしまうことも考えられる。この場合には、出題の適正さや受験生の愛称を考慮する必要があり、偏差値評価の限界が存在している。 ほかにも、媒体間の偏差値の差や、大学受験における入試科目の違いから、文系・理系や国公立・私立、マーク式・記述式、出題傾向もバラバラなので、1つの偏差値という同じ尺度で比較することはできない点、偏差値と社会における学校評価が必ずしも比例関係ではない点などが問題となっている。
参考・引用
・企業社会と偏差値 中内敏夫 他 著 藤原書店 1994年
・日本の学校のゆくえ ~偏差値教育はどうなるのか?~ 竹内常一 著 太郎次郎社 1993年
・偏差値崩壊 ~本当の学力を見失う偏差値の呪い~ 牧野剛 著 PHP研究所 2009年
・北辰テストHP http://www.hokushin-t.jp/
投稿者 S.H.