カースト3
出典: Jinkawiki
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【概要】
「カースト」という言葉はインド人の間の特異な身分制度に対して、ポルトガル人が「カスタ」と呼称したことに基づいている。つまり「カースト制度」という言葉が、元々インドに存在していなかったということを表している。独立後の新憲法においては、カーストによる差別を禁止しており、法的にはカーストは存在していないことになっている。
【歴史】
約3000年前に北インドに侵略してきたマーリア人は、現在のヨーロッパ人と同じ源流の白色系人種であった。彼らは先住民族(ドラヴィダ人などの肌色の濃い人々)を平定してその支配を固めるにつれ、「ヴァルナ」という身分制度を作り上げた。「ヴァルナ」という言葉はサンスクリットでは「色」を示すものであり、肌の色による身分の上下区分を作り上げたことになる。こうした身分制度では、肌色の白い人々を支配者として上位の身分に置き、肌色の濃い人々を被支配者として下位の身分に置いた。 それ以降、アーリア人の中でも社会的機能による区分が出来始めた。それがいわゆる「四姓」にあたり、宗教儀礼を専門とする「バラモン(祭司)」、軍事及び政治を専門とする「クシャトリア(王族・武士)」、商工業活動に従事する「ヴァイシャ(平民)」、被支配民族の「シュードラ(奴隷)」の4つの階級に区分されることとなる。 この古代的身分制度である「ヴァルナ」がインドの「カースト制度」の基本を成しており、現在でも肌色を意識する考えが残っているとされる。さらに、とりわけ「ヴァイシャ(平民)」と「シュードラ(奴隷)」はそれぞれ職業ごとにさらに細分化されていき、やがて2000ともいわれるほどの多数の区分が中世的身分制度として固定された。 この区分は、職業を生まれにより世襲化するものであり、「生まれ」を意味する「ジャーティ」という言葉で呼称され、ヒンズー社会では非常に強い影響を持ち、人々を束縛し続けている。 この「ヴァルナ」と「ジャーティ」が融合されて、例えば日本においては「カースト制度」として呼称されている。カースト制度は、人間への差別として非難されるが、現実のヒンズー社会においては、こうしたカースト制度を受け入れ、その内部でのそれぞれの分を守ることで、生活を保障されている側面もあり、同一カースト内では相互に助け合い、協力し合うといった共同体的な機能も持っている。だが、不合理な差別であると理解していながらも、カースト制度はヒンズー教とも密接な関わりを持ち、深く結びついているため、ヒンズー教徒の意識を根底から改革するのは非常に困難である。
【現状】
カースト制度でも特に問題視されるのは、不可触民の存在である。カースト内の位置すら与えられておらず、触れただけあるいは見ただけでも汚れるものとして、カーストを持つヒンズー教徒から差別を受けてきた。一億人近く存在するとされている不可触民は、社会の底辺において多大な労働力を提供しているにも関わらず、社会的地位は未だに低いままで改善されていない。 このような事態を改めるために様々な努力が講じられてきた。例えばガンディーは彼らを「ハリジャン(神の子)」と呼称し、ヒンズー社会での地位向上に努め、また数十万のハリジャンが、指導者アルベードカルに率いられ、仏教に改宗した。現在でも改宗を果たすハリジャンは存在する。しかし、このように呼び方を変え、改宗を果たしても、カーストヒンズーからの身分的な位置付けまでは変えることはできない。 インド政府はハリジャンたちを法的に保護し、大学あるいは企業に受け入れを義務付けている。また、新聞の広告などにおいては「不可触民」という差別用語を避け、「指定カースト」と示されているが、入学あるいは入社してからも周囲から不当な圧力を受け、差別を受けているというのが現状である。
【参考文献及び参考サイトURL】
「カースト制」 http://www.edu.nagasaki-u.ac.jp/private/tanigawa/asia/p-culture/3/3-1.htm 「インドの宗教、ヒンドゥー教、ヒンズー教、カースト制度」 http://www.lailaindia.com/religion.html 「不可触民と現代インド」(2003.11)著・山際素男 出版・光文社 「不可触民とカースト制度の歴史」(1996.10)著・小谷汪之 出版・明石書店
投稿者nagano