サドベリー・バレー・スクール
出典: Jinkawiki
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[成り立ち]
サドベリー・バレー・スクールは1968年にアメリカ・マサチューセッツ州のフラミンガムで創設された私立校である。 2008年、同校の教育方針(サドベリー・モデル)をモデルにした学校が、アメリカ合衆国・カナダ・デンマーク・イスラエル・日本・オランダ・オーストラリア・ベルギー・ドイツなどに40校近くある。これらの学校は総称して「サドベリー・スクール」または「デモクラティックスクール」と呼ばれている。 サドベリー・バレー・スクールの創立に関わったグリーンバーグは2つのことを述べている。 ① 学習に対する不干渉とは何か?それは、生徒たちに教えを受ける完全な自由を与えることだ。生徒たちの必要に応える教えを彼らが欲するかぎりにおいて与えることである。それは彼らにとって不必要な学習を強制することではない。 ② サドベリー・バレー校の目的は、学習が自己の動機、自己管理、自己批判によって最善のかたちでもたらされるとの原則に基づき、コミュニティーとしての教育環境を創設、維持するものである。 サドベリー・バレー校はこれらに基に創設されたものといえる。 教育者は昔から「教育に」という仕事に付きまとう、ある根本的な問題と格闘してきた。教える、または学ぶ、その最良の道とは何か。その場合、子どもたちにどの程度、責任をもたせるべきか。あるいは、どれほど子どもたちの主張を認めるべきか。そもそもデモクラシーの社会にあって、学校はいかに運営されるべきか。このような問題からラジカルな新しい答えが提起された。それにより、常識として受け容れられた教条に対し、まるで違ったフレッシュな視線を投げかけ、新しい取り組みを手助けすることをとりわけ価値のあることとし、実験校として生まれたのが最初である。 そして、サドベリー・バレー校は教育における自由と民主的な統治という二つの基本的な原則をもち、4歳から19歳までの子供が通っている。
[教授法]
子ども達は自分のしたいことを毎日欠かさず続けることで学んでいる。 予め決められた授業内容やカリキュラムはない。 理由 ①産業の時代から情報の時代に移り、無数の新しいものが常に生み出されている ②情報時代の子ども達は関心のあるすべての物事にアクセスすることができる ③学びはあらゆるときに起こる。 ④人が生まれつき好奇心を持ち、学ぶ意欲を持っていることを信頼している スクールの大人は「スタッフ」と呼ばれ、生徒から要望があった時に、いつ、何を、どのように学ぶかを話し合って決める。 スタッフは生徒との自然で対等な人間関係を築き、生徒の求めに応じて教え、学習のサポートや学校を存続・維持するために必要な仕事をする。 遊びと会話を通しての学び、生徒同士の学び合い、自主学習も盛んになっている。
[学校の本質]
① 自由な学びと自治(民主主義) 自分を尊重する。好奇心は自尊心や自信へとつながるもので、情報革命後の社会では特に必要とされる要素。 ② 他者を尊重する、環境を理解する 他者を尊重すること無しに真に自分を尊重することはできない。また、自分を尊重すること無しに真に他者を尊重することはできない。外面的な秩序・規則の形態(ストラクチャー)よりも、個々人の内面的な規律が育まれているかどうかが重要だと考える。スタッフも生徒も等しく学校の大切な構成員の1人として、実際に学校運営に参加することは、お互いに自由で尊重しあう人間関係と、それを可能にする学校(コミュニティー)を築くという学びもある。 サドベリー・バレー校の教育哲学・信念はいたってシンプルである。 [子どもたちは、人間性の本質である生来の好奇心に働き動かされることで、自分を取り巻く世界に分け入り、それを我がものとしていく途方もないエクササイズを受け続ける努力家である]こと。そして、学校の本質が「人間の本質」「学ぶこと・生きることの本質」である。ゆえにカリキュラムのようなものから離脱し、子どもから発せられた意欲だけが前に進むような力とした。それがこの学校の「教育のビジョン」である。
参考文献
『世界一素敵な学校―サドベリー・バレー物語 』 ダニエル グリーンバーグ
『自由な学びとは - サドベリーの教育哲学』 ダニエル・グリンバーグ
投稿者 F.F.C