公害病
出典: Jinkawiki
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公害病について
大気汚染,水質汚染,土壌汚染,騒音・振動など公害を原因または補助因として起きた疾病。日本独特の用語で,外国ではhealth effects of environmental pollutantsなどの言葉が用いられるが,特定の言葉はない。 [〈公害健康被害補償法〉の制定] 1959年に石油コンビナートが操業を始めた四日市で,その直後から健康被害の苦情が多発しはじめ,64年度の厚生省によるばい(煤)煙影響調査の結果,四日市の喘息(ぜんそく)様の呼吸器疾患の多発は大気汚染によるものであるという発表がなされ,これを受けて四日市市が公害病としての独自の医療扶助制度を開始したことが一つの契機となって,公害病という用語が社会的に広がり,定着してきたものである。
代表的な公害病
水俣病・・・
熊本県水俣市に1953年~1960年にかけて発生。水俣湾の魚や貝を食べていた漁民や周辺の人が手足や口のしびれる症状が出て、死亡する人もいた。 原因は、付近の工場廃液にふくまれるメチル水銀(有機水銀の一種)が魚や貝に蓄積し、それを長い間食べていた人が発病したことがわかった。 裁判の結果、廃液を流していた会社から賠償金の支払いと、国に対しても被害者認定の遅れを認めることになった。 最終的に認定された患者数は、2,200人にのぼった。
新潟水俣病・・・
新潟県阿賀野川流域で1964年頃から起きた、熊本と同じ水銀による公害病で、第2水俣病と呼ばれた。 裁判結果は、会社に賠償命令が出た。最終的に認定された患者数は、700人になった。
イタイイタイ病・・・
富山県神通川地域で第二次世界大戦の頃から発生した公害病。 子供を出産した女性に多く発症し、手足の骨がもろくなり、激しい痛みが伴うので、イタイイタイ病と名が付けられた。 鉱山廃液にふくまれるカドミウムが原因であることがわかった。 裁判結果は、会社に賠償命令及び毎年、排水と川の水質検査を義務づけられた。 最終的に認定された患者数は、190人になった。
四日市ぜんそく・・・
三重県四日市市を中心とした地域で1960年頃から発生。 多くの人が気管支炎やぜんそく、肝障害を起こし、死者も出た。 石油化学工場から出る煤煙中にふくまれる亜硫酸ガスによる空気の汚れが原因であった。 最終的に認定された患者数は、1,700人になった。同じような公害は、川崎市や尼崎市などいくつかの工業地帯でも発生している。
認定問題
公害病でもっともむずかしいのは認定問題である。すなわち、汚染物質や汚染現象と病気やその症状および所見の間にはっきりした因果関係が証明されれば問題ないが、実際には多くの複雑な要素が加わるために、立証することがきわめて困難である。このため専門家の間にも判断の相違がみられたり、とくに関係者の利害や関心が異なるとまったく相反する意見となることもあり、社会的にさまざまな紛争を生じる原因となる。この問題について環境庁(現環境省)の中央公害対策審議会(現中央環境審議会)では、公害損害賠償保証制度諮問委員会医療分科会の「主として医学の立場からみた公害損害賠償保証制度の基本問題について」と題する中間報告で見解を発表した。
参考文献
コトバンク http://kotobank.jp/word/%E5%85%AC%E5%AE%B3%E7%97%85
Yahoo百科事典 http://100.yahoo.co.jp/detail/%E5%85%AC%E5%AE%B3%E7%97%85/
用語解説 http://www.nies.go.jp/nieskids/oitachi/yougo02.html
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