核燃料

出典: Jinkawiki

2013年7月31日 (水) 13:49 の版; 最新版を表示
←前の版 | 次の版→

原子燃料ともいい、原子力のエネルギーを原子炉によって利用する際、エネルギーを発生する源になるものをいう。核融合反応を利用する核融合炉での使用が想定される重水素、三重水素なども広義に含むが、一般には核分裂反応を利用する原子炉で使用するもののみをいい、ウランU、プルトニウムPu、トリウムThのいずれか一つ、またはその組み合わせである。

ウランの主な同位体はウラン238238Uとウラン235235Uであって、それぞれ天然存在比は99.27%と0.27%である。この存在比の少ない235Uが天然に産出する核分裂性物質である。熱中性子炉は235Uの熱中性子による核分裂を利用している。このとき中性子の一部は238Uに吸収され、プルトニウム239239Puができる。239Puは核分裂性物質であって、高速炉はこれの高速中性子による核分裂を利用する。そのとき炉心周辺に238Uをブランケット燃料という。燃焼したプルトニウムよりも多いプルトニウムを生成することができて、これを増殖という。また天然のトリウムは中性子を吸収してウラン233233Uとなるが、これも核分裂性である。このように238Uやトリウムは転換して核分裂性物質へ変化するので燃料親物質と呼ぶことがある。

燃料と呼ぶのは石炭、石油などの燃料にならってであるが、両者は次の点で大きく異なる。①従来の燃料は化学反応による発熱を利用するのに対し、核燃料は核反応を利用する。②このため、従来の燃料では一般に酸素があればそれ自身で燃焼せられるのに対し、核燃料は原子炉という特殊な装置を利用しなければ燃焼させられないし、燃料も燃料体という特殊な形に成形加工しておかなければならない。③核燃料の燃えカス(核分裂生成物)は強い放射能をもち、その処理処分が大きな技術的社会的な課題となる。④核燃料の燃焼によって前述のように核燃料を増殖することができる。

参考文献:世界大百科事典 発行所:平凡社

HN:tyy


  人間科学大事典

    ---50音の分類リンク---
                  
                  
                  
                  
                  
                  
                  
                          
                  
          

  構成