Cop15Ⅳ
出典: Jinkawiki
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≪COP15≫
COPは、締約国会議(Conference of Parties)の略称。今回が15回目の会議であることから、「COP15」と言う。COPは、国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)を受けて設置された会議で、年に一度、各国の環境に関わる省庁の大臣(日本の場合、小沢環境相)が集まり、この条約の成果について話し合う。2009年12月7日から18日までの2週間にわたり、 デンマークの首都コペンハーゲンで開催された。会議の主な目的は、「京都議定書」に定めていない2013年以降の中長期的な地球温暖化対策を決定し、各国の同意を求めることにある。 また、環境問題に限らず、多くの国際条約の中でその加盟国が物事を決定するための最高機関として設置されている。
≪結論に至る経緯≫
現在、京都議定書の締約国である日本などの先進国は、温室効果ガスの削減目標を掲げて努力を進めている。この京都議定書の第一約束期間は2008年から2012年である。この期限の後、どのような枠組の元で国際的な温暖化対策を進めるか(次期枠組)を検討するのが、COP15の最も重要な議題であった。しかし、最終的な合意に至ることはできなかった。 2週間にわたる会期の前半は、2つの作業部会による交渉が行われたが、京都議定書の延長や強化を主張する開発途上国と、京都議定書にはアメリカ、中国、インドなどの温室効果ガス大量排出国が参加しておらず、これらの国による削減を推進すべきとする先進国との対立が解消されず、実質的な進展がなかなかみられなかった。 各国首脳が集まり始めた12月17日夜から、日、米、欧、中、印、小島嶼国など、主要な26カ国・機関の首脳陣により「コペンハーゲン合意」の案について議論が行われ、関係した首脳陣ではいったん合意が得られた。 しかし、最終決定機関であるCOPの全体会合では、数カ国がこの合意の作成過程が不透明であったことを強く非難し、合意の採択に反対した。スーダン代表は、コペンハーゲン合意が「産業化以前からの気温上昇を2℃以内に抑える」ことを取り上げ、IPCCの報告からみても、1.5℃以内に抑えないと、アフリカ諸国は致命的な被害を受けると強く主張した。一方、この合意は決して完全なものではないが、この場で何らかの合意がなければ次のステップには進めない、一刻も早く取組を進めなければならないと、反対する国の説得を試みる小島嶼国代表などもいた。このように、従来は“一枚岩”とみなされていた途上国間で明らかな意見の対立がみられたのも、今回のCOPが初めてのことであった。 最終的に、コペンハーゲン合意は「COPがこの合意に留意する」と決定された。
≪コペンハーゲン合意の内容≫
①世界全体の気温上昇が2℃以内にとどまるべきであるとの科学的見解を認識し、長期の協力的行動を強化する。
②先進国は2020年の削減目標を、途上国は削減行動を、それぞれ付表の様式により、2010年1月31日までに事務局に提出する。
③先進国の行動はMRV(測定/報告/検証)の対象となる。途上国が自発的に行う削減行動は国内的なMRVを経た上で、国際的な協議・分析の対象となるが、支援を受けて行う削減行動については、国際的なMRVの対象となる。
④森林減少・劣化からの排出の削減の重要な役割や森林吸収の必要性を認識し、メカニズムの設定を通じたインセンティブ提供の必要性に合意する。
⑤先進国は、途上国に対する支援として、2010~2012年の間に300億ドルに近づく新規かつ追加的な資金の供与を共同で行うことにコミットし、また、2020年までには年間1,000億ドルの資金を共同で調達するとの目標にコミットする。気候変動枠組条約の資金供与の制度の実施機関として「コペンハーゲン緑の気候基金」の設立を決定する。
⑥2015年までに合意の実施に関する評価の完了を要請する。
≪今後の展開≫
日本の政府は、2020年までに1990年対比で25%の温暖化ガスを削減する目標を掲げている。しかし、この水準は非常に高く、しかも日本を含む一部の先進国のみが厳しい削減義務を受け入れた場合、国際競争力が低下して、国益が損なわれるといった声も産業界からは上がっている。 各国の国益と地球規模の温暖化防止策をどのような形で両立させるのか、来週末まで続く「COP15」での議論の行方に注目が集まりまる。 参加国の脱退で幕引きとなることの無いよう、徹底的に議論を尽くして欲しいところである。
≪参考文献≫
独立行政法人環境再生保険機構 http://www.erca.go.jp/ondanka/inter/cop15.html
三井住友アセットマネジメント http://www.smam-jp.com/market/report/keyword/1208877_1982.html
林野庁 http://www.rinya.maff.go.jp/j/kikaku/hakusyo/21hakusyo_h/all/h13_01.html KR