国際人権規約4

出典: Jinkawiki

2013年8月7日 (水) 08:49 の版; 最新版を表示
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目次

国際人権規約

1916年12月16日に国際連合総会で採択された基本的人権についての規約。経済的社会的及び文化的権利に関する国際規約(社会権規約、A規約)、市民的及び政治的権利に関する国際規約(自由権規約、B規約)、市民的及び政治に関する国際規約についての選択議定書の3つがある。国際人権規約の締結国は、自国の人権をめぐる状況を国連の規約人権委員会への報告する義務を負う。2008年には社会権規約の個人通報制度を規定する社会権規約選択議定書も採択された。  

経緯

ファシズムなどによる人権蹂躙への反省として、第二次世界大戦後、人権を国際的に保障しようとする動きが高まった。1945年の国際連合憲章では前文に「基本的人権と人間の尊厳及び価値と男女及び大小各国の同権とに関する信念をあらためて確認」するとし、また第1条では「人種、性、言語または宗教による差別なく、すべての者のために人権及び基本的自由を尊重するように助長奨励すること」とあり国際連合設立の目的の一つになっている。
1946年には国連憲章の人権に関する文章を具体化するために、国連人権委員会が設立され、人権規定の具体化に着手した。
1948年国際連合第3総会で世界人権宣言が採択された。世界人権宣言では各国が達成すべき人権保障の基準を示した。しかし、条約でないため世界人権宣言は法的拘束力がないものである。
国際人権規約は1966年12月16日に採択され、1976年に発行された。

日本での批准・留保

日本は国際人権規約の社会権規約(A規約)と自由権規約(B規約)の2つに関して、1978年5月30日に署名し、1979年6月6日に国会で承認され、1979年6月21日批准書寄託で批准手続きを終えた。
日本では、社会権規約・自由権規約ともに批准している。しかし、その一部を留保している。2006年6月15日に提出された『国際人権に対する我が国の取り組みに関する質問注意書』の質問に対し社会権規約第7条「公の休日についての報酬について」、社会権規約第8条「同盟罷業をする権利について」、社会権規約第13条「中等教育及び高等教育の漸進的無償化について」の3項目を留保していると、当時首相の小泉純一郎氏が答弁書を送付している。留保している理由として「公の休日についての報酬について」は、日本では現実に労働しない国民の祝日についても賃金を支払う賃金体系を採っている企業の割合が少なく、また、国民の祝日に賃金を支払うという社会的合意がないこと等から、国民の祝日について報酬を支払うか否かについては労使間の合意にゆだねることが適当と考えられるため、留保している。「同盟罷業をする権利について」は、争議行為の禁止に関し、日本の関係法令の定めるところが必ずしも合致しないこと等から(日本では公務員の同盟罷業権がない)、「同盟罷業をする権利について」の規定に拘束されない権利を留保している。「中等教育及び高等教育の漸進的無償化について」は、後期中等教育及び高等教育に係る経費について、負担の公平や無償化のための財源をどのように賄うのか等の観点から、これらの教育を受ける学生等に対して適正な負担を求めるという方針を採っていること、また、高等教育においては、私立学校の占める割合が大きいため、私立学校を含めて無償化の方針を採ることが困難であることから留保されている。
国際人権規約の社会権規約(A規約)第13条を留保している国は、日本、マダガスカル、ルワンダの3カ国であった。2012年9月11日の野田内閣の閣議において、社会権規約第13条「中等教育及び高等教育の漸進的無償化について」の留保の撤回を閣議決定した。1979年、日本が国際人権規約を批准してから33年の年月を経て、ついに留保を撤回した。


参考文献

2006(平成18)年6月15日提出 質問第373号 国際人権規約に対するわが国の取り組みに関する質問主意書 提出者  高井美穂(民主党・無所属クラブ)
衆議院議員高井美穂君提出国際人権規約に対するわが国の取り組みに関する質問に対する答弁書
ブリタニカ国際百科事典

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