エスペラント語V
出典: Jinkawiki
エスペラント語はポーランドに住んでいたルドヴィーコ・ザメンホフというユダヤ人が新しい言語として考案したもの。「エスペラント」とは、フランス語のエスポワール(希望)、スペイン語のエスペランサなどと同源であり、「人類の希望の言語」の意味が込められている。ザメンホフは、生まれ育ったポーランドが当時何度も国家的帰属を変えられる歴史を経た結果、さまざまな言語が話されるようになったため、言語の対立を除くために中立言語として考案したのだと説明している。エスペラントはあまたある「国際人工語」の一つにしかすぎなかったが、そのなかではかなりの成功を収めた。
特徴
*基本母音 a(ア)、i(イ)、u(ウ)、e(エ)、o(オ)
*子音 英語のアルファベットのうちq、w、x、y以外
*アクセント 常に最後から二つ目の音節(母音)
*名詞 いつでもoで終わる (例)日本 japanio(ヤパニーオ) 国家 stato(シュタート)
*動詞の語尾 現在形―as 過去形―is 未来形―os 命令形―u 仮定形―us 原形 ―i
*代名詞 私mi 私たちni あなた(たち)vi 三人称li、si、gi(複数ili)
*膠着的性格 言語の歴史をみると、新しい言語ほど屈折(現在―過去―過去分詞で母音がいろいろに変化することによって、文法変化を表す方法)がなくなり単純化してきている。逆にエスペラントや中国語はつぎたし、くっつけ型へと向かっている。現代は屈折への美学のほうが強まっているといえる。(p,46~68)
エスペラントの影響
エスペラントはほかの言語に比べて、学びやすく発音したときの快さが魅力である。その影響は日本や中国にも広まっていて、作家の宮沢賢治、音楽家の山田耕作、文学者の二葉亭四迷、さらに1922年には、『武士道―日本の魂―』の著者の新渡戸稲造と民俗学者の柳田国男が共同で国際連盟に働きかけ、フランスの反対を押し切り世界中の公立学校でのエスペラント教育の提案を可決させた。また、中国でも作家の魯迅が支持するなど、今日でも影響力が強い言語になっている。 エスペラントの需要は翻訳の世界でも大きく、1894年には『ハムレット』、1938年には『日本書紀』、1997年には『紅楼夢』といった重要文献の翻訳まで行っている。その意義は世界でその言語に通じている人が少なく、エスペラントで翻訳しておけば世界のどこへ行ってもエスぺランチストが数百の言語に翻訳してくれるというのであった。(p, 99,100)
参考文献 『エスペラント―異端の言語』 田中 克彦 2007年6月20日発行 発行所岩波書店 [1] 一般財団法人日本エスペラント教会ホームぺージ
HNF