外国人参政権6
出典: Jinkawiki
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憲法解釈
日本の外国人の選挙権をめぐる学説は5つに分類される。【1,国政禁止・地方禁止とする見解 2,国政禁止・地方許容とする見解 3,国政許容・地方許容とする見解 4,国政許容・地方要請とする見解 5,国政要請・地方要請とする見解】である。1の見解は、現在支持するものは極めてまれであるが、80年代当時まで、学説のほとんどがこの見解であった。2の見解は、現在一般的な説となっている。3,4の見解は、多数の支持はない。5は極めて少数の論者が支持しているのみである。 平成7年の最高裁判決では地方選挙権につき、外国人に付与することは憲法上の要請とはいえないが、法律を改正してこれを付与するとしても憲法上許容されうるとして、学説の動向もこれに大きく影響された。国政選挙については、最高裁は平成5年の判決において、外国人の国政参加は憲法上保障されていない旨を判示した。
ヨーロッパの例
日本では外国人の選挙権が認められていないが、ヨーロッパは外国人の選挙権の先進地帯である。ヨーロッパにおける外国人の選挙権の導入には2つの要因があるとされている。第1の要因は、増加する外国人労働者の存在である。戦後、急速な経済回復をなしとげた西欧諸国では、構造的な労働者不足となり、これをおぎなうために外国人労働者が流入した。人口減少傾向にある西欧諸国は外国人労働者なしでは経済発展が不可能となり、どのようにして外国人労働者と西欧諸国を「統合」したらよいかとしたときに、選挙権保障が議論されるようになった。第2の要因は、EUを中心とする、ヨーロッパ統合への動きである。1974年のパリ首脳会議において、ヨーロッパの経済協力を促進する方法の1つとして、加盟国相互間の移住外国人に対する地方選挙権の付与が検討されたのである。1986年には、EC委員会が、EC加盟国の国民に対して居住国における地方選挙に参加する権利を認める方針を表明した。このような動きを先取りして、デンマーク、オランダ、アイルランドなどが、EC加盟国の国民に限らず、外国人に地方選挙権を認めるに至ったのである。
≪参考≫
『外国人の参政権』 世界思想社 2000年 著:長尾一紘
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