シェールガス2
出典: Jinkawiki
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シェールガスとは
まず、シェールとは頁岩を意味する。頁岩とは一億数千年前の植物の堆積物で、それに圧力がかかり、硯のように黒くなった岩石である。地下数千メートルにあるそのような硬い頁岩の地層をシェール層と呼ぶ。そしてこのような地下深部の2,000メートルから3,000メートルのシェール層の頁岩の、細かい隙間にあるメタン・エタン・プロパン等の気体をシェールガスと呼び、油をシェールオイルと呼んでいる。
シェールガスの採掘方法
米国オクラホマ州に本社を構える独立系ガス会社GHKが、シェールガス開発で地下数千メートルに大量に存在するシェールガスの掘削を可能にした「水平掘り」や「水圧破砕・ハイドロフラッキング」の技術を確立した。最新のシェールガス掘削は「水平掘り」「水圧破砕」「マイクロサイスミック」という技術を組み合わせて行う。従来からあったこれらの掘削技術を、最新のノウハウで組み合わせることでシェールガスの掘削が実現した。ドリルで採掘手順としては、まず垂直に地下のシェール層に縦穴を掘り、シェールガス層に沿って水平に横穴を掘っていく。次に縦穴と横穴に水を注入し、岩石に人工的に割れ目を作るため、500から1,000気圧の圧力をかける。これによりシェールガスの主成分であるメタン分子が流れ出る。またこの水圧がシェールガスの生産量を左右するため、慎重な調整が必要となる。
既存エネルギーに与える影響
アメリカ産シェールガスの増産により、既存エネルギーに影響が見られた。アメリカでは石炭火力発電から天然ガス火力発電へのシフトが進み、アメリカ向けであったコロンビア産の石炭はアジアやオーストラリアに流入している。その結果、オーストラリアのニューカッスル港渡しの一般炭価格が半値まで暴落した。更に、原油市場ではOPEC(石油輸出国機構)が、アメリカのシェールガス増産によって国際エネルギー需要が緩和しOPECの原油供給に影響が出ていることを公認した。今後OPEC諸国の国際石油市場での供給率は低下していくと考えられる。従って、今後は天然ガス・石油ともにシェール中心の非従来型の比率が高まっていくことは確実であり、45年で枯渇すると言われていた化石燃料の寿命が少なくとも100から200年は延びた。
世界のシェールガスの埋蔵量
シェールガスは世界中に埋蔵されていると考えられている。特に、今まで油田やガス田とは無縁であった地域や国に、膨大な量のシェールガスの埋蔵が確認されている。アメリカのエネルギー省が出した推定値によると、1位が埋蔵量36兆立方メートルで中国、2位が24兆立方センチメートルでアメリカ、3位が22兆立方メートルでアルゼンチンとなっている。これに次いでメキシコや南アフリカ、オーストラリアなども10兆立方メートルを超えるシェールガスの埋蔵が推定されている。ちなみに、日本や周辺の海洋では大規模なシェールガスの埋蔵は見られていない。というのもシェール層のシェールガスは1億数千年前の地層の堆積によって出来たものであって、そもそも一億数千年前には日本列島は存在していなかったためである。
シェールガス事情 アメリカVS中国
中国には世界一の36兆立方メートルのシェールガスが埋蔵されていると予測されていて、四川・貴州などにおいて探鉱や開発が始められた。中国政府は2020年には年間600から800億立方メートルのシェールガス生産を行うという目標を掲げているが、今のところ開発は具体的な実績が乏しいのが現状。商業生産を開始するには少なくても数年はかかる状況である。その大きな理由の一つに、シェールガスの掘削技術盗用が関連している。掘削技術の開発国であるアメリカは、長年かけて開発したこの技術を中国に盗まれることを恐れている。そこで、中国企業がアメリカやカナダのシェールガス鉱区権益を買収する例も出始めたが、中国人開発者の現場立ち入りが禁じられているところもあるため、アメリカ側の懸念は根深い。また中国海洋石油総公司がカナダのエネルギー大手をM&Aで買収する案も出ており、アメリカ側と中国側のせめぎ合いが熱を帯びている。更にアメリカの掘削大手会社が中国に子会社を立ち上げ進出を目指す動きも見せている。
参考文献
falcon.