マグネット・スクール
出典: Jinkawiki
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マグネット・スクール
1970年代からアメリカで普及している政策。学校選択の自由化方策一つとして挙げられる。教育行政の最小単位としていえる学区を各公立学校を特色化させ生徒や生徒の家族自身で学校を選ぶことができるようになった。日本のように公立学校を学区ごとに分けている制度をネイバーフッド・スクールといい日本は近隣学校ということになる。磁石が鉄を引き付けるように魅力的なプログラムを持つ学校が都市や郊外から生徒を引き付けるということからマグネット・スクールと呼ばれるようになった。カリフォルニア州やイリノイ州に多く、カリフォルニア州は456校、イリノイ州は420校存在している。市全体など非常に広い地域から生徒たちが入学することができる。小学校(幼稚園を含む)から高等学校までありその内容や年齢層も幅広い。また学校としては日本の学校のようなネイバーフッド・スクールの制度をとっているがマグネット・スクールのようなプログラム(マグネット・プログラムと呼ばれることが多い)を取っている学校も少なくなく、その制度の効果は広がってきているといえる。「地域全体の学力を上げる」という目標をもっているのも大きな特色の一つである。一般の公立校とは異なるマグネット・スクールもオルタナティブの一種ではあるが、近年は「児童・生徒が通学を希望するような特別プログラムを持つ学校」をマグネット、「特別な支援を必要とする子供に手を差し伸べる学校」をオルタナティブと分ける傾向がある。この二つの境界線はあいまいといわれており、区別がつきにくい。日本でも子供が勉強により強い興味関心を持てるようになるためにマグネット・スクールの概念をいれようとする働きが起こっている。
開設された理由
20世紀半ばまで白人と黒人の子供が通う学校は分けられており、この差別的な風習を変えようとし、行動につながっていたのがマグネット・スクールの始まりだったといえる。この時代白人が通う学校は優秀で資金提供も多くされている場合が殆どだったが、黒人は逆に教育的な面でも差別を受けることが多かった。そのため差別をなくそうと白人と黒人が同じ学校で学ぶよう白人の学校区の生徒と黒人の学校区の生徒が一つの学校に集まることとなった。その際黒人は白人区の学校に行くとき、黒人はバスに乗って登校した。しかし白人と黒人がともに学べるように働きかけた「学校統合」をしたところで、学校で示されていた差別が学校内に変わっただけになってしまい大きな変化は得られなかった。またその時に選出された生徒は必ずしも白人が通う学校に行き教育を受けたいと願う生徒だけではなかった。このことが大きく起因して白人も黒人も自分が通いたいと思う学校に好きなように選べるという考えが生まれ、それが今日のマグネット・スクールの前衛的な考えである。
特色
まずその大きな魅力としていえることは決められた学区内だけではなく生徒自身が人気のある学校や自分が進学したいと考える学校を選ぶことができるという点である。入学決定の有無はくじびきであったりテストを受けてもらうなど様々な方法を選択している。また、日本のスーパーサイエンススクールやインターナショナルスクールのようなものだけには限らず音楽や美術などの芸術分野にもそのプログラムは機能している。インターンシップや職業訓練など将来のための学習もできるようになっている。超エリートを育てるための学校と勘違いされることが多いが、勉強面で強い特色を持つというよりむしろ社会体験や社会進出などの準備をする学校といった面が強い。その例としてスポーツレクリエーションなどのイベント等にも力を入れている。アメリカ政府は学校の多様性を増やすという目的をもって学校を開設拡大する学校区に対し資金提供を行っている。また資金提供を受けているからと言ってなんらかの公約を設けることも、その学校自身が設けた公約を守るといった義務もない。しかしマグネット・スクールの存在を知っていても近くにないという理由から近隣の学校を選ぶ生徒も多く今後の課題点であるといえる。学校区関係なく自由に選ぶことができ、入学することになったとしても交通機関が発達していない学校区のマグネット・スクールで、さらに学校からの援助もなく学校に通うことになった場合、生徒は自力で学校に来ることになりその点での保障はされていないことが多くみられる。また芸術などに力をいれるなどのメリットがあると同時にマグネット・スクールでは「地域全体の学力を上げる」という目標に基づき学習環境を提供しているので学力が上がりにくいという難点もある。また資金を学校側が管理しており、保護者の意見や生徒自身の意見は反映されない。それに加えプログラムが成功しなかった場合、急に中止したり変更したりする場合があり、今後の課題は多いということができる。
参考文献
http://www.gakken.co.jp/kyouikusouken/books/magnet_school/pdf/h18_report.pdf(マグネットスクールの調査研究)
http://childabroad.blog.ocn.ne.jp/renew2/2014/03/post_b483.html(マグネットスクールの今)
http://www.kids-abroad.net/000063.html(子供の学校)
http://www.lets-hutoukou.com/school/magnet.html(フリースクールで学びなおそう)
ハンドル名 mr.rrr3