遠い空の向こうに
出典: Jinkawiki
『遠い空の向こうに』(原題: October Sky)は、1999年のアメリカ映画である。日本の中学三年生、高校一年生の教科書にも載せられたこともある。原題の「October Sky」は、原作の題名「Rocket Boys」のアナグラムになっている。将来がほとんど決められている小さな町に住んでいる主人公が、炭鉱工場の監督である父に反発しながらロケット作りに励み、その活動の中で父と和解していく話。監督はジョー・ジョンストン、脚本はルイス・コリック,ホーマー・ヒッカム・Jr。この物語は元NASA技術者であるホーマー・H・ヒッカムJrの実話を元に作られた作品である。
あらすじ
主人公の少年ホーマー・ヒッカムはアメリカ、ウエスト・ヴァージニアにある小さな炭鉱の町に住んでいた。その町の主な収入源はその炭鉱から生み出されるもので、住人のほとんどはそこで働くしか選択肢がなかったが、体育会系の選抜になり奨学金をもらって大学に行くという道も残されてはいた。しかしごく少数しかいなかった。 ホーマーの兄は奨学金をもらったうちの一人で、そのアメフトの才能に長けていて、その数少ない奨学金をもらって大学に行っていた。だが、ホーマーにはどうやらその才能はなく炭鉱で働く運命しかホーマーにはなく、また父親もこれを推していた。そんな中1957年10月にソ連がアメリカに先だって人工衛星スプートニクを打ち上げた。その様子を見ていたホーマーはロケットを作りたいと思うようになった。次の日から、ホーマーは仲間のロイ・リーとオデールとともにロケットづくりに励んだ。知識も何もないホーマーたちはとりあえず色々な事を試す。初めてのロケットはロケット花火30個分の火薬を詰め込んだ懐中電灯のロケット。5キロは飛ぶだろうと予想したホーマーだったが、結果は全く飛ばなかった。町ではロケットの技術を知るような人は見当たらなかったが、クラスメイトであるはクエンティン膨大なロケットやエンジンの情報や知識を持っていた。クエンティンの加入により、ロケットボーイズの活動は本格的になった。身近にあるものを加工し、ロケットを作り、本物らしくなってきたロケットだったが、どうにも燃焼室とノズルの部分の溶接をしなければならないが、それにはホーマーの父親が働いている会社の設備を使う必要があった。ホーマーは父親のいない間に工場に忍び込み、工場で勤務していた、バイコフスキーさんにお願いした。彼もスプートニクを観て感動した一人であり、ホーマーの父に内緒で協力してあげた。
そうやって完成した本格的なロケット。学校でロケットボーイズのみんなに見せている間、校長に見つかり怪訝な顔をされるも、そこへ現れたライリー先生の機転によりなんとか切り抜ける。そして、彼らに科学コンテストの存在を知らせ、そこで優勝すればアメリカ中の大学が奨学金を申し出てくるという事を告げる。炭鉱で働くという未来しかなかったホーマーの心の中に一つの希望が見えてきた。
完成したオーク一号の打ち上げは炭鉱の近くで行われた。天才的業績だと変人クエンティンは自信満々。打ち上げられたロケットは真上に打ちあがったかと思えば、方向を転換し、猛スピードで炭鉱の方へ向かっていった。もう少しで人を殺していたかもしれないと父親に激怒され、こんなクズを二度と会社の地所にまぎれこませるなとくぎをさされてしまう。
しかし、そんなことでは主人公のロケットへの情熱は冷めたりしない。一度の失敗で嫌気がさしていたロケットボーイズの三人は禁止されてしまったこともありやる気をなくしていたが、禁止されたのは会社の地所でやる事であって、13キロ歩けばロケットを飛ばせるという主人公の前向きさに呆れながらも感心し付き合うことにした。
彼らの行動は町の人々に笑われながらも興味を引き、父親も反対しながらもささやかな協力はしてくれた。一方、溶接の協力してくれたバイコフスキーさんは父親にホーマーを手伝った事がバレて、工場勤めから給料がいいが危険な坑内へと飛ばされてしまっていたりもした。
バイコフスキーさんの代わりに溶接の仕事をしていたボールデンさんはホーマーたちのロケットに興味を持ち更なるアドバイスをする。もっと上質な鉄を使えと。その資金を作るため、ロケットボーイズは廃止線になった鉄道の線路をかっぱらいお金を作った。
そしてボールデンさんの知識とともにたくさんのロケットを作り、試行錯誤を繰り返す。点火しては爆発し、そのたびにお金を作る為に重たい線路をかっぱらい、新しいロケットを作って点火してはまっすぐに飛ばずに爆発する。何度も何度も失敗しては失敗から学んでいった。
何度目のロケットだろうか。彼らは今度こそと期待を膨らまし、応援してくれているライリー先生とともに発射場へ着くと、兄が言いふらしたのか、そこには大勢の人がいた。ここで失敗したら大勢の笑いものだ。ドキドキしながらも新しく作ったロケットに点火する…。
ロケットは今までの失敗作とはまるで別物のようにまっすぐ真上に上昇していった。会場は歓喜の声が上がる。
彼らの成功はさらに多くの人を巻き込み多くの人が打ち上げ場に来るようになった。しかし、一方で炭鉱で働いてほしいと思っている父とそうはなりたくないホーマーの溝は悪化していった。兄のアメフトの試合には仕事を休んでも来てくれるのに、ロケット打ち上げの日には決まって仕事が忙しい。
ロケットボーイズの功績はついに新聞にまで出るようになった。
しかし・・・。
その新聞の記事が出たことで、山火事の原因がロケットボーイズのロケットにあると警察に疑われ、逮捕されてしまう。未成年という事ですぐに釈放されたが、上手くいきかけていた歯車は狂い始める。
大雨の日。炭鉱が崩れ多くのけが人が出る。自分を助けてくれたバイコフスキーは死に、ホーマーの父は大けがをする。父が働けなければ収入が入ってこない。兄が働くと提言するが、大学の奨学金がおじゃんになってしまう事を気遣い、ホーマーは自分が学校を中退し炭鉱で働く事に決める。
やがて、父親は怪我から復帰し、ホーマーは学校に戻ることも出来たのだが、そのまま坑内で働く事にした。そんなホーマーをみて、久しく上手くいっていなかった父親は笑顔になり、坑内で自分の仕事を誇らしげに見せた。俺は炭鉱で働く為に生まれてきた。お前もそうだろう。
このまま炭鉱で働く人生で終わっていいのか。そんな事を考える主人公の耳にイヤな噂が入ってきた。ライリー先生が病気になったというのだ。ホーマーはライリー先生に会いに行った。そこでライリー先生はホーマーに
「時には他人のいう事を聞いてはいけないの。自分の内なる声を聴くの」
と諭す。あなたは炭鉱マンじゃない。別の人生を設計しているはずだと。
その言葉に動かされたホーマーは寝る間を惜しんでロケットの勉強を再開した。働きながらも時間があれば勉強し、そしてついにはあるひとつの方程式を解き、その解を書いた紙を持って夜中にクエンティンの家へ訪問する。
その方程式は、行方不明になっていたロケットの落下場所を示したものだった。その答えを元に山へ行き、ロケットを発見する。山火事があった場所から離れている。火事の原因は僕達じゃなかったんだ。
その証拠を持って学校に行き、校長や警察に自分たちが無実であることを説明した。そして再び学校の生徒として科学コンテストに参加することを認めさせるのだ。
再びロケットボーイズの活動に戻ったホーマー。一時は和解したと思えた父との関係はこのことで再び悪化した。はたして、望んでいることが全く別の方向を向いているこの父と子が和解する時は来るのであろうか・・・。
・・・こんな感じのあらすじです。