PISA4

出典: Jinkawiki

2015年7月30日 (木) 18:21 の版; 最新版を表示
←前の版 | 次の版→

目次

概要

OECD(経済協力開発機構)生徒の学習到達度調査であるのがPISAである。この調査は世界の15歳を対象として、2000年から2003年、2006年、2009年と3年ごとに実施されており2000年は32か国が参加、2003年には41か国が参加、2006年には57か国が参加、最近では2013年に実施されたものがあるがこれは65か国51万人が参加したのである。テスト内容は数学的リテラシー、科学的リテラシー、読解力の3分野について調査する形式となっていて2時間のペーパーテストで選択問題や記述式によって問題は出されるのである。この調査は単純な学力ではなく実生活の中で活かされる思考力などを重視したテストとなっているのである。


日本のPISAにおける順位

ここでは例として2000年から2009年までの各分野の4回分の結果を挙げる。 科学的リテラシー 2位(2000)→2位(2003)→6位(2006)→5位(2009)→4位(2013) 数学的リテラシー 1位(2000)→6位(2003)→10位(2006)→9位(2009)→7位(2013) 読解力 8位(2000)→14位(2003)→15位(2006)→8位(2009)→4位(2013) 上記の結果から分かるように脱ゆとりが社会的に意識されたのと同時に成績が再び向上し始めたと言わざるおえない結果となっているのである。


PISAにおける学力低下が見られた要因

2003年と2006年にはPISAにおける日本の学力低下は大きく報道されたのである。日本は教育大国と言う自負を日本社会全体が持っていただけにこの衝撃は大きかったのである。教育委員会により原因の究明が開始され矛先は「ゆとり教育」へと向けられたのである。総合的な学習の時間の導入などにより生きる力の養成をめざすという高い理想を打ち立てたゆとり教育であったが、現場では総合的な学習の時間の授業をどのように展開するのが正しいのかという混乱を招いたことで具体的な結果を出すことにはつながらなかったのである。また総合的な学習の時間の導入によって主要5科目の時間が削減されていたことも矛先を向けられてしまう理由となったのである。

実施意義とこれから

OECDがこのような学力調査や評価を実施するのか、OECDが教育問題に取り組む意義は経済発展のためには、その基礎として教育の充実が欠かせないということにあるのである。そのために、まずPISAを実施して初中等教育に取り組み全体的な底上げを狙ったのである。そしてこれからのPISAは高等教育問題にも関わることになる。グローバル化に伴って国の枠を超えて業務を進めるケースが増えてきているが、プロジェクトチームを編成する際に、それぞれの国の大卒者が、どのくらいの学力を備えているか分からなければ、最適なチームを作ることは出来ない。円滑に業務を進めるためにも、各国の大卒者のレベルに同等性があるのか、格差があるとすればどの程度の違いがあるのかをきちんと評価しておくことが必要である。そのような理由で今後のPISAは大学版のPISAの実施に方向を向けているのである。


参考文献

黒木比呂史 大学版PISAの脅威(2008) 論創社

志水宏吉, 鈴木勇編著 PISAは各国に何をもたらしたのか(2012) 明石書店

「文部科学省-全国的な学力調査」 http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/gakuryoku-chousa/sonota/detail/1344310.htm

「国立教育政策研究所」 http://www.nier.go.jp/kokusai/pisa/


  人間科学大事典

    ---50音の分類リンク---
                  
                  
                  
                  
                  
                  
                  
                          
                  
          

  構成