フォルケホイスコーレ13
出典: Jinkawiki
←前の版 | 次の版→
目次 |
概要
フォルケホイスコーレとは、北欧全土で広い範囲に設定されている成人教育機関で公教育から独立している私立学校であり、デンマークに150年ほど前からはじまった自由な学校である。フォルケホスコーレという言葉は「民衆(国民)の大学」を意味しているが日本人が想像する総合的な大学よりは小規模である。現在は100校を超えフィンランドやスウェーデンさらにノルウェーやデンマークにも機関が設置されている。17歳半以上であれば、誰でも学ぶことができる学校であり、試験を拒否し、資格も与えず、全寮制で教師と学生が共同生活をして学び、カリキュラムは自由で、国家の干渉を受けない私立の学校である。
特徴
フォルケホイスコーレに入学するための資格としては年齢が17歳半から18歳以上であるならば国籍を問わずに誰でも入学することが可能である。入学者の特徴は幅広く、大学に行くというありきたりな人生に疑問を持った若者やフリースコーレ(自由学校)やエフタースコーレ(自由中学)というふうにフォルケホイスコーレの仲間の学校を卒業した後その上級学校としてフォルケホイスコーレへの進学を希望する者、人生に挫折したり家族の不幸や恋人との失恋などで傷ついた心を遠い田園地帯や海岸地方で好きな絵や陶芸などをして気を紛らわし癒そうとするものなど多くの理由がある。しかしながら、基本的にはフォルケホイスコーレの授業は基本的にはデンマーク語と機関がある現地語となるためどんな理由で入ろうとも言語力に関しては多少高度な能力が必要となるのである。しかし、概要にあるように入学試験などの類の制度は存在しないため言語力が劣ることが原因で入学不可になる心配は不要である。また反対に言語力などに優れていたとしても何か特別な資格が得られるということもないのである。学習期間は各学校によって多少の誤差はあるものの基本的には最大10か月となっており、コースとしては3か月コースや6か月コースなどが設けられている。授業科目は多岐にわたり芸術、体育スポーツ、言語など様々な科目があるがあくまで目的としては授業や共同生活の中から社会階級や国籍を超えた交流を実践しもう一度自己を見つめ直し再発見することによって、最も自分らしい生き方を見つけることが学校の最大の目的となっているのである。
グルントヴィ
フォルケホイスコーレというコンセプトはデンマーク国民の父と言われているグルントヴィが提唱したものであり、停滞した暗記中心の教育を批判し生徒と教師が生活を寄宿制によって共有しながら語り合うことを重ねることで自分たちを取り巻く世界を学ぶことを訴え、公教育から独立したフォルケホイスコーレのような独立した学校の設立を提唱したのである。
日本のフォルケ・ホイスコーレ
日本ではかつてグルントヴィの考えを「国民高等学校」と訳し大正時代から昭和時代の初めにかけて農村振興の模範例として精神的に紹介された過去があるが、不十分な理解のために天皇制ファシズムにからめ取られた解釈に陥り、正しい理解が阻害され日本全体に自由と人間解放を目指す精神が根ずくことはなかったのである。日本に今現在ある東海大学は日本においてもグルントヴィから影響を受けた賀川豊彦や内村鑑三などの弟子である松前重義がその教えに沿ってデンマークの学校をお手本にして創設した数少ない大学である。しかしこれはあくまで制度化されたいわゆるマンモス校でありデンマークのフォルケホイスコーレの精神に近い小さな学校とはややかけ離れたものである。今現在日本で協会に属していてフォルケホイスコーレを名乗っている機関は世界と比べるとかなり少ない、例といは北海道に設置れている瀬棚フォルケホイスコーレなどがそうである。
参考文献
清水満 生のための学校-デンマークで生まれたフリースクール「フォルケホイスコーレ」の世界(改訂新版) (1996) 株式会社新評論
清水満 『フォルケホイスコーレ』の世界 : デンマークで生れたフリースクール : グルントヴィと民衆の大学 (1993) 株式会社新評論
「フォルケホイスコーレとは」 http://www.asahi-net.or.jp/~pv8m-smz/society/hoeskole.html
「フォルケホイスコーレ入門」 http://www.folkehojskole.jp/honmon.html