オンブズマン制度2
出典: Jinkawiki
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オンブズマン制度とは
オンブズマンとは、「代理人、代表者、弁護人」という意味のスウェーデン語が由来である。オンブズマン制度は、スウェーデンにおける1809年の憲法によって創設されたことが起源とされており、今日では世界百か国以上で採用されている。そもそもオンブズマン制度というのは、一口に言えば、「市民が行政を監視する制度」ということができる。議会がその付属機関として独立の機関を設け、これに行政監視の機能を委ねようとするものである。元来は国民の苦情に基づいて、あるいは職権で行政府等の活動を調査し、適切な行政改善や官吏の懲戒などについて、政府及び議会に助言、勧告を行う機関である。この機関は、国家権力=法に変えて、与論を主たる強制力の裏付けとしている点に、特色がある。
世界のオンブズマン
世界のオンブズマンを分類する基準としては、オンブズマンの組織による分類と、果たしている機能などによって分類することができる。機能に着目して分類すると、スウェーデン型、デンマーク型、イギリス型、スペイン型、ドイツ型、日本型などに分けることが出来る。
スウェーデン型
政策決定を行う執政府と政策執行を行う行政府が組織的に分離され、オンブズマンは行政府だけを監視し、大臣などからなる執政府は管轄外であることなどの特色を有する。官吏の公務執行に対する、刑事責任を問うことに主目的がある。そのために官吏の刑事責任を定めた詳細な刑法の規定があり、裁判官もその管轄に含む。
デンマーク型
大臣が行政府の責任者である議院内閣制を採用している国において、行政府を統制するために、大臣もオンブズマンの管轄に含め、かつ、司法権の独立を保護するため裁判官を管轄から除外するという形式でオンブズマンを導入したため、議院内閣制をとる他国において、この制度が急速に普及するきっかけを与えた点で重要である。
イギリス型
オンブズマンが数千万の国民からの苦情を処理することができないことを考慮して、議院を介して苦情を受理するという形式でデンマーク型オンブズマンを導入した。しかしその後に制度化された、自治体オンブズマンなど、多種類のオンブズマンは、国民からの苦情を直接受理する形式で採用されている。
スペイン型
長らく続いたフランコ政権の独裁政治が終わり、人権侵害に対する反省から、人権擁護の役割を担ったオンブズマンが設置されたが、これが南米などのスペインの旧植民地において、軍事政権や独裁国家における人権侵害に対処するためのオンブズマンを設置するきっかけを与え、その結果ロシア、東欧、南アメリカやカリブ海諸国などにおいて人権擁護のための護民官という名称でオンブズマンが設置されるきっかけを与えた。
ドイツ型
国勢調査権に基づいて、請願内容を調査し、関係機関に勧告したり、立法措置を提言したりするものであり、日本の参議院行政監視委員会やそれに倣って設置された衆議院の決算行政監視委員会がこれに相当する
日本型
日本型とは日本の行政相談委員のことを言うが、特別の権限を持たない市民が、行政機関と連携することにより、市民の苦情を処理するものであり、オンブズマンに由来するものではないが、学問的にはオンブズマン類似の機関として扱われている。
参考文献 平松毅著「各国オンブズマンの制度と運用」成文堂