デンマークのエネルギー自給
出典: Jinkawiki
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デンマークでは、環境に優しいエネルギーを利用して自国の電力をまかなっている。その主なものとして、風力発電とバイオガス発電があげられる。
風力発電
デンマークは世界有数の風力発電設備を有し、また世界一の風力発電機生産国である。現在では電力の約16%を風力発電でまかなっており、世界の5割の風車がデンマーク製と言われている。2030年までには、電力の30%~40%を風力発電で自給することを目標としている。
デンマークが風力発電をすすめるようになったきっかけは、1973年のオイルショックである。それまでエネルギーの90%を海外の石油に頼っていたデンマークは、石油の価格高騰によりエネルギーの海外依存の恐ろしさを知った。そのため、自然エネルギーを中心としたエネルギー自給自足の方向に歩みだしたのである。
デンマークにおける風力発電の特徴の一つに、個人や協同組合によって所有されるものが圧倒的に多いという点がある。デンマークで風力発電を所有するのは85%が個人や協同組合で、電力会社が保有するのは残りの15%に過ぎない。このため、買電収入がそのまま地域住民の収入増加につながる。 また、それらのエネルギーを買う電力会社には「固定価格買取制度」という、再生可能エネルギーを一定の価格で買い取ることを義務づけられた制度もあり、買い取りの上限もないため、地域の収入が増えると共に、より多くの再生可能エネルギー利用に繋がっている。
バイオガス発電
バイオガスとは、家畜の糞尿等の有機性廃棄物を発酵させて作るガスのことである。 酪農が盛んなデンマークでは、家畜の糞尿散布で地下水を汚染されることが大きな課題となっている。そこで、9カ月間糞尿を保存するタンクを設置することが全農家に義務づけられているが、「どうせ貯めるのなら、ガスをとれないだろうか?」という考えからバイオガス発電が始まった。 バイオガスの成分は、メタンガスが65%、二酸化炭素が35%であり、このガスを電気と熱に変換する。電気は配電会社に買電し、熱は地域暖房などで利用する。一方、ガス抜きされた後の糞尿は良質の肥料として再び畑に還元される。 現在、デンマークには18カ所の農場用バイオガス装置と20カ所の共同バイオガス装置が運営されている。 デンマークでは、飲料水はほぼ100%地下水に頼っているが、それを浄化せずにそのまま国民に給水している。バイオガス発電装置はこの地下水の品質を保護するために導入された環境保全対策にもなっているのである。
(投稿者:アサ)