サンゴの白化

出典: Jinkawiki

2015年8月3日 (月) 12:19 の版; 最新版を表示
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目次

白化とは何か

サンゴの白化現象は、サンゴ礁を衰退させる大きな原因の一つとなっている。サンゴの白化現象とは、サンゴ体内の褐虫藻の密度が減少したり褐虫藻が色素を失ったりすると、サンゴの白い骨格が透けて見えるようになる現象であり、こうした状態を一般的に「白化」と呼ぶ。白化したすぐ後はサンゴは生きているが、白化した状態が長く続くと、サンゴは共生藻からの光合成生産物を受け取ることができなくなり、死んでしまう。白化を起こすのはサンゴに限らず、共生藻をもつイソギンチャクなど他の動物でも観察されることがある。

白化の原因

サンゴの白化は、環境ストレスにより褐虫藻の光合成系が損傷され、サンゴが褐虫藻を放出することにより起こる。ストレスとしてよく挙げられるのは高水温である。近年、サンゴの白化の頻度が増大していることが明らかになり、温暖化による水温上昇との関係が盛んに議論されるようになった。サンゴは海水温が29度くらいまでは健康に成長することができるが、近年、夏期に海水温が30度を長期間超えるようになり、サンゴの白化を引き起こしている。本州など温帯域では水温が30度を超えることはないが、平年値より水温が上昇すると、その付近に分布するサンゴが白化を起こしたことが報告されている。このことは、サンゴがそれぞれの環境に適応しており、平年値を上回る水温がストレスとなって白化が引き起こされることを示している。水温が上がると単純にサンゴの分布域が温帯域に広がっていくというわけではないのである。サンゴのストレスとしては、水質汚染、不法投棄、人口建造物による環境の変化もあげられる。また、温暖化によって海水温度が年々高くなっているために、プランクトンが異常発生し、周辺海域に十分な光が届かなくなると褐虫藻は光合成を行うことが出来なくなる。そのため、褐虫藻は、光を求めて共生していた珊瑚を離れ、移動してしまい、サンゴが白化するという事例もある。

サンゴの白化による影響

海は年間に約20トンもの二酸化炭素を溶かし、そしてサンゴが最も二酸化炭素をよく吸収するといわれている。その吸収量は年間に排出される二酸化炭素量の10分の1を占めており、サンゴは美しいだけでなく、二酸化炭素を減らし温暖化に歯止めをかける貴重な生き物なのだ。そのサンゴが白化してしまうということは、地球上の二酸化炭素量の増加につながる。また、サンゴ礁付近に生息していた生物もサンゴの白化により棲みかがなくなり、移動するので、その結果、生物多様性が低下していく。そして、魚などの生物資源も減少するので、漁業に大きな打撃を与える。

参考文献

『PADI』http://www.padi.co.jp/visitors/sango/page1_3.asp

『日本サンゴ礁学会』http://www.jcrs.jp/

(sumireyakko)


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