グローバル化2
出典: Jinkawiki
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グローバル化とは、政治・経済、文化など、様々な側面において、従来の国家・地域の垣根を越え、地球規模で資本や情報のやり取りが行われることである。グローバル化により、経済的には、国内市場と海外市場の境目がなくなる、労働力も海外から調達できる、などの変化が著顕になる。また、人の行き来が盛んになることで、疫病の流行も世界規模になること(パンデミック)が少なくない。また、工業生産が大規模になることで、地球環境もグローバル化していると言える。近年では火力発電に代わり二酸化炭素の排出の少ない原子力発電所を建設する計画が世界各地で進んでおり、原子力ルネッサンスとも呼ばれている。これまで存在した国家、地域などタテ割りの境界を超え、地球が1つの単位になる変動の動きや過程のことである。グローブとは、球体としての地球の意味である。1970年代、地球環境が人類的課題だという意識が生まれたことなどから広く使われるようになった。冷戦期には、東西分断を超える人類的視点をグローバルと呼び、世界平和を志向する用語として使われた。こうして、国家ではなく人類の視点から、環境破壊、戦争、貧困などの地球的問題に取り組む「グローバルに考えて、ローカルに行動する」という標語も広まった。しかし90年代には、経済のグローバル化が強調された。各国が金融自由化を進め、また旧ソ連圏が崩壊し、情報通信システムの統合が加速した。その結果、巨大企業が世界を市場や投資先として苛烈に競争を展開し、半面、政府は資本への規制力を弱体化させ、短期の資本移動や為替の投機的取引に対する統治能力が弱まった。また地球の1カ所の経済破綻が、通貨危機や世界同時不況として波及する事態が相次いだ。さらに、質的には米国の経済的優位に重なることが多い。その中で、グローバル化は資本の支配の貫徹であり、貧富の差を拡大し、環境と固有文化を破壊するという反グローバリズムの主張が力を増している。こうして、むしろマイナスの価値を示す言葉としてグローバル化が語られることも多くなり、言葉の二面性が強まっている。
グローバル化と国際社会 ニコラス・ガイアット著、増田恵里子訳 明石書店2002,7 アメリカのグローバル化戦略 福島清彦著 講談社 2003,7