統治行為論

出典: Jinkawiki

2015年8月5日 (水) 00:06 の版; 最新版を表示
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目次

統治行為論とは

 国家機関の行為のうち、極めて高度な政治性を有する行為については、裁判所の司法審査の対象とならないという理論 これは、裁判所の司法審査権の限界についての理論の一つである。憲法上統治行為が司法審査の対象外であるとする明文の規定はないのが現状である。統治行為論は、フランスの判例が採用した 『acte de gouvernement』 の理論に由来するものであり、フランスでは行政機関の行為に関して問題とされた。これに対し、アメリカの判例が採用する 『political question』 の理論は、立法機関の行為に対しても適用される。日本では「統治行為」という名称にフランスの影響が見られる。

日本で統治行為論を適応した例

日本の判例においては、統治行為論に言及したものは実際は非常に少ない。 昭和34年12月16日:砂川事件最高裁大法廷判決

昭和35年 6月 8日:苫米地最高裁大法廷判決

昭和48年 9月 7日:長沼ナイキ事件札幌地裁


日本の統治行為論についての課題

⑴アメリカ・日本の軍についてのトラブルの時使われることが多い そのため、統治行為論は「裁判の対象の範囲外」ということが多用されれば、将来的に国民にとって不満な制度が生まれる可能性がある。『憲法解釈の最高権威は最高裁。憲法学者でも内閣法制局でもない。最高裁のみが憲法解釈の最終的な判断ができると憲法に書いている。(朝日新聞6/15より)』とあるように、最高裁判所が憲法解釈を行われている。また、これまでの判例から統治行為論を使う時は日本にあるアメリカの軍事基地と日本人のトラブルが多く、これらは今まで一度も明確な判断をしたことがない。

⑵統治行為論は必要か否か 統治行為については肯定説と否定説がある。

統治行為論の肯定説

肯定説の代表的なもの

(1)三権分立や国民主権を重視し、裁判所は政治的に中立であることを根拠とする内在的制約説

(2)裁判所の判断による政治的混乱を自制すべきとする自制説

(3)司法手続きの限界や判決の実現可能性  これらを総合的に考慮して(1)と(2)の折衷的立場(ケースバイケース)を採る芦部説などがある。


統治行為論の否定説

統治行為論については、日本国憲法下においては法の支配が徹底されていることを理由に、各々の機関の自律権または自由裁量に服する事項以外のことについては、法律上の争訟でありながら司法審査が及ばない領域は認められないという否定説が存在する。 しかし、多くの学説は統治行為論肯定説に立つ。

宍戸常寿『立憲平和主義と憲法理論』2010

朝日新聞6/15「憲法解釈の最高権威は最高裁」 自民・稲田氏 http://www.asahi.com/articles/ASH657FLZH65UTFK02B.html

弁護士どっとコム http://www.bengo4.com/gyosei/d_508/

統治行為論 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B5%B1%E6%B2%BB%E8%A1%8C%E7%82%BA%E8%AB%96


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