風刺画
出典: Jinkawiki
風刺画とは
風刺画とはユーモラスで毒気のある芸術家たちが国の支配者たちや支配者たちの責任だと思われた社会状況をからかう目的で描かれた画である。風刺画は当時の国内の状況や国際状況を表しているだけでなく、当時の市民からの目線や国の目線、ときには支配者の目線としての考えまでも知る手掛かりとなる。イギリスではとりわけ18世紀、フランスでは19世紀にもっとも風刺画が盛んになった。どこにおいても、一般にそうした芸術は鋭い社会的な衝突や激しい政治的緊張のあった時期に栄えたし、しかも支配者たちに自分たちを笑いものにするのを芸術家たちに許すだけの余裕がある場合に栄えやすかった。もちろん風刺漫画家たちは自分たちに危害を加えることのできない標的に国境をこえてほこ先を向けることができた。しかし風刺画は批判のまととなることも少なくなく、宗教に関する風刺画の問題は国際的な批判を受け事件となってしまうこともある。
デンマーク風刺画事件
デンマークで最大の日刊紙である「ユランス・ポステン」にイスラム教の神にあたる「ムハンマド」を批判する風刺画が掲載された件でヨーロッパの国々から大きな批判を受けデンマークの外交問題にまで発展した事件である。さらに批判した芸術家の殺害計画を企てたとしてモロッコ系デンマーク人一人とチュニジア人二人の計三人を拘束するという事件もおきた。この事件が起こった背景には「表現の自由」という権利が深く関係している。この「表現の自由」の考え方は国や宗教などにより異なるため風刺画は問題の対象にされやすい。デンマーク風刺画事件に似た事件はスウェーデンでもおこり「表現の自由」に関してさまざまな物議をかもしている。
参考資料
「ヒトラーをやじり倒せ 第三帝国のカリカチュア」スビニェク・ゼーマン 著 山田義顕 約
「EUとイスラームの宗教伝統は共存できるか」 森孝一 編著