ヤマアラシ・ジレンマ

出典: Jinkawiki

2008年7月10日 (木) 12:46 の版; 最新版を表示
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ヤマアラシ・ジレンマ

電車にや駅などでよく見かけるのが、手持無沙汰なのか、頻繁に携帯電話の着信履歴を確認する若者です。とくに電話がかかってくる予定もないのにこのように確認しないでいられない人々を、私は着信恐怖症と呼んでいます。 これは男女、職場、親子などさまざまな人間関係において適度な距離感を保つことができず、悩んでいる人が「人から愛されたい」「関心をもたれたい」という願望をいだくことによって生じる行動です。アメリカの精神分析医べラックは哲学者ショーベンハウアーの寓話を引用し、現代人が陥っている傾向として、これをヤマアラシ・ジレンマと名付けました。ショーベンハウアーの寓話とは次のよなものです。 ある冬の日、ヤマアラシのカップルが寒さに震えていた。体を寄せ合って暖をとろうとしたのだが、寒さのあまり接近しすぎてしまい、あ互いのトゲで相手の体を傷つけてしまった。慌てて離れたところ、今度は離れすぎて凍えてしまう、というものです。 現代人はこのヤマアラシのように相手との最適な関係が見つけられないでいるのです。特に若者にことあるごとに着信履歴を確認する傾向があるのは、それだけ人間関係の距離感を上手に図ることが難しいからでしょう。 あなたのヤマアラシ指数がわかる。ここにべラックが考案した公式があります。P.I(ヤマアラシ指数)=刺激の数×強度×持続  たとえば5人の友人にそれぞれ1週間に平均して1回、一人につき100分間会っていたとすると、P.I=5×1×100=500と計算します。5人の友人に1週間平均で10回それぞれ10分会うと、P.I=5×10×10=500となり、前者と結果は同じですが、中身がずいぶんと違います。この二つのパターンを比較すると、後者は人間関係が表面的であることがわかります。 着信履歴恐怖症の人々は、後者の典型的なパターンといえるでしょう。


参考文献:「すぐに使える心理学」渋谷昌三著 PHP研究所 2003/02 


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