少子化
出典: Jinkawiki
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少子化とは
全人口に対して年少人口(15歳未満の人口)の比率が低くなることを指す。 現在の日本では年少人口率が13%前後であり、統計によると2055年には9%台まで減少すると言われている。 1人の女性が一生に産む子供の人数を平均化したものが合計出生率というが、第1次ベビーブーム期には合計出生率が4.3を超えていたが、1950(昭和25)年以降急激に低下した 。
少子化の問題点
1行政サービスへの影響 税や社会保障に関する負担が増加することによって起こる。 今後は高齢者の割合が高くなることが予想され、それに伴って現世世代の私たちに、税金や年金等の負担が過度にかかる恐れがある。 さらに、限られていた税収で行政サービスを行わなくてはならず、現代のサービスの質が保てなくなる。 特に、高齢者増加の出費から、社会保障関係サービスへの影響が深刻になることが予想される。 実際、平成12年10月の厚生労働省推計によると、社会保障給付費は2005年に100兆円、2010年には127兆円と税収入の約4倍、2025年には207兆円になった。
2経済への影響 経済の影響は、労働人口の減少によって起こる。 国の生産力を支える15~64歳までの生産年齢人口が減少すると経済活動が低迷し、経済成長が鈍化または停滞する恐れがある。 また、年金減額などによって生活費や医療費が不足する高齢者が増えると、貯金を取り崩すことになる。 銀行などの金融機関に一斉に押しかけることで、充分な資金が不足し、積極的な投資が出来なくなる。 こうして金融関係に悪影響を与える恐れがある。 また、世帯主の年齢階級別所得再分配状況によれば、60歳以上か未満かで当初所得と再分配所得の額が逆転して税金がもらえない、ということになりかねないということも分かっている。
3社会への影響 家族や地域社会の形態が変化することによって起こる。 少子化が進むと、親の過干渉や過保護が増える一方で、同世代・異世代を含む子供たち同士の交流機会が減少する。 子供は多くの人と出会いながら、自他の存在を認めていくものだが、少子化に伴う交流機会の減少は、こうした社会性の育成を妨げる要因となる。 このように、少子化は様々な面でこれからの日本を支える世代の弱体化を引き起こす恐れのある深刻な問題と言える。
問題点の背景
少子化の主な原因は、晩婚化や未婚化である。 その背景には、女性の社会進出の影響や若年層の人生設計の困難さである。 女性の社会進出は、高学歴化によって高度で専門的な能力を備えた女性が増えたことが大きな要因である。 一方、「男は仕事、女は家庭」と言った性別的な役割も減ってはいるが依然としてまだある。その結果として男性は長時間労働を行い、子育てを女性に依存する家庭も多い。 つまり、女性に出産・育児の負担が集中することになる。 こうした負担感から、女性が仕事と結婚を迫られた場合仕事を選ぶことが多く、結果的に未婚化や晩婚化につながり、出産できる機械が減少する。 一方、若年層の人生設計の困難さは、不景気やそれに伴う雇用状態の悪化が大きな要因である。 日本のほとんどの企業は新卒採用を主体とした採用を行っているが、昨今の経済状態の悪化の影響で採用自体を控える影響にある。よって非正規雇用で働くことになる。 収入が低くなりがちの非正規雇用者は、子育て費用をはじめとして生活費を確保することが難しくなる。 こうした状態では、将来にわたっての収入の見通しが予測しにくく、人生設計や家族計画が立てづらくなる。 以上のことから、子供を受けることを先送りしたり懸念したりする過程が生まれやすいのである。 つまり、少子化の問題の背景には社会の在り方が大いに関係している。
対応策・改善策
少子化対策の主なものは、子育てのしやすい環境づくりと若年層への雇用対策である。 子育てのしやすい環境づくりについては、育児休業制度の整備、看護休暇制度の促進、保育所の充実化である。また、女性の出産や育児に対しての過度の負担から、晩婚化や未婚化が生じるという指摘から、男性が子育てに参加しやすい環境を作る必要がある。 例えば、育児休養を取りやすい環境作りの促進やイクメンを増やすプロジェクトの推進等である。 若年層への雇用対策では、非正規社員化が主体となる。具体的には、カウンセリングや職業訓練の実施、新卒採用偏重からの脱却を企業に呼びかけることなどが挙げられる。
参考文献
少子化と日本経済の影響 独立行政法人経済産業研究所 (観覧日7/25) http://www.rieti.go.jp/jp/events/bbl/02111501.html
働き方の変化 作成者不明 (観覧日7/25) http://www.mlit.go.jp/hakusyo/mlit/h24/hakusho/h25/html/n1213000.html
大学入試小論文の完全ネタ本 神崎史彦 文英堂
少子化とエコノミー パネル調査で描く東アジア 篠塚英子・永瀬伸子 作品社
少子化とジェンダー分析 目黒依子・西岡八郎編 勁草書房