チャータースクール13
出典: Jinkawiki
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概要
チャータースクールという概念がアメリカで議論され始めたのは、1988年ごろからである。通学校を指定する権利だけでなく、学校開設、学校運営、カリキュラム策定の権限を一挙に父母や教員をはじめとする移民に譲り渡した。それによってバウチャー制度や免税制度のような公的資金の流出論や、公教育の民営化論や廃止論をおさえられると期待した。州や学区の法令・規則の適用が免除されるため,独自の理念・方針に基づく教育を提供した。こうしてチャータースクールが「学校選択」のニュー・シンボルとして1990年代の公教育改革を担うことになった。親や教員,地域団体などが,州や学区の認可を受けて設ける初等中等学校で,公費によって運営。 アメリカ合衆国では教育に関する権限は州にあり,チャータースクールに関する制度は州によって異なる。このため,チャータースクールの設置許可の主体や設置許可数の制限の有無,教員免許を持たない教員の任用の可否などは,州によって様々である。
基本概念
チャータースクールの基本概念を初めて体系化したのは、テッド・コルデリーである。その内容は、 1、学校は複数の当事者によって組織、所有、運営される。 2、組織者はチャーターのために二つ以上の公共機関に申請できる。 3、学校は法人格を持つ。 4、学校は公立である。つまり、非宗教的、授業料なし、入学者を選抜しない、厚生・安全に関する法に従う。 5、学校は生徒の学業成績に責任を負う。その目的を達成できなければ、チャーターを失う。 6、学校は制度上、運営上の慣習から自由である。 7、学校は選択される学校である。いかなる生徒も入学を強制されない。 8、州は学校予算の正当な部分を生徒の学区からチャータースクールへ委譲する。 9、新しい学校の設計に参加する場合、教員は恩給の権利を残したまま本務校から出校許可を受ける。
KIPP
1994年に、KIPP (Knowledge Is Power Program) という新たなチャータースクールプログラムが広まった。設立15年を過ぎ、今や全米に82校を展開する最大のチャータースクールとなり、21,000人の生徒が通っている。 特徴は、アフリカ系やヒスパニック系、低所得層の子どもたちを対象に、貧困から抜け出すための学力向上を目標とし、公立学校の基準を大幅に超える長時間の授業(平日9時間と土曜日の隔週授業)を行っている点だ。その原則を以下の5つの柱として掲げており、実際に、KIPPに通った大半の生徒は学力テストの結果が大幅に上昇している。そのKIPPの特徴は、以下の5つに運営方針に集約される。 1.高い期待(High Expectations) 2.選択と努力(Choice & Commitment) 3.長時間授業(More Time) 4.指導力(Power to Lead) 5.結果重視(Focus on Results) 今や全米最大のチャータースクールに成長し、ビル・ゲイツやGAPの創業者もその活動に注目し、支援していることでも有名である。
参考文献
鵜浦裕「チャーター・スクール アメリカ公教育における独立運動」(2001)勁草書房