フレネ教育 13
出典: Jinkawiki
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フレネ教育とは
フレネ教育とは、一小学校教師だったセレスタン・フレネが1935年にほとんど独力で作ったもので、たいへんユニークなその教育法はフランスの公教育の内部でもかなりの数の教師によって採用され、諸外国、とりわけヨーロッパ、ラテン・アメリカの国々に広まった。また、特にフランスで広く取り入れられているフレネ教育は、日本ではまだまだ珍しい教育方法のひとつである。日本の一般的な学校は、時間割が決まっていて、みんな同じ教科書を開いて授業を受け、みんな同じペースで授業が進んでいく。しかしフレネ教育はこの詰め込み型の教育を良くないとし、子供の考えをベースに子供のペースで学ぶという教育方法を実践している。とはいえ自由に勝手に学ぶのではなく、共同体の中で人格形成を目的として学びが進んでいく。
フレネ教育の特徴
フレネ教育には、以下のような特徴がある。 1、異年齢の子どもが学び合う 南フランスのヴァンスにあるフレネ学校では、年齢で分けられているのではなく、約60人の生徒のうち、3~5歳、6~7歳が中心のクラス、8~11歳までの3クラス。 少人数で、異年齢が学びあうクラスでは、年長の子どもがちいさな子どもに気を配る光景が見られるなど、互いを思いやる気持ちが自然と育まれる。 2、3歳から文章で表現 フレネ教育の大きな柱は「作文」と「印刷」である。子どもが日常生活のなかで発見し、表現したいと思ったことを文章にしていく。子どもたちは3歳から文章を書くが、はじめは先生が手助けし、取り組む。自分で書いたものが印刷され、他人に読まれるのは嬉しいから、自分の思いをきちんと表現しようという意欲が沸いてくる。 3、活動計画表にそって学習する 子どもたちは,自由作文や詩の朗読、文法の説明のとき以外は、自分で決めた活動計画表にそって自分のペースで学習する。分からないことがあれば,先生に質問して個別でじっくり学ぶというスタイル。毎日、学校での仕事が目標通りに進んだかどうか、計画表のマス目を進んだ分だけペンで塗りつぶしていくことによって自分の学習を管理する。そして2週間ごとに、子ども自身がみんなの前で自己評価を示し、みんなで話し合って最終の評価を決める。 4、意見交換 フレネ学校の子どもは対話の名人と呼ばれる。お互いの考えを話し合うという習慣があるからだ。毎日の「朝の会」「帰りの会」「コンフェランス」(親子の研究発表会)、協同組合の集会(学級・全校集会)があり、意見交換をよくしている。 クラスには言いたいことを自由に書き込める壁新聞があり、そこでの「称賛する」「批判する」「実行した」「希望する」の欄に書かれたことが話し合いのテーマになる。議長は子どもで、先生も参加する。 5、尊重しプライドを傷つけない フレネ学校の先生は、「子ども一人ひとりを尊重すること」、「子どもの情熱、子どもの中にある欲求を最高の段階まで導くこと」、「子どもに失敗を恐れさせないこと」が大切だという。みんなの前で詩を読むとき、子どもは「自分が覚えたものをみんなが聞いてくれる」という誇らしい気持ちを持っている。それを聞いて、子どもたちは率直に発言し、批判もする。それは、一人ひとりの存在が認められ、お互いのよさを認め合う関係ができているからだ。
参考文献
・原章二/原光枝「フレネ学校と子どもたち」(1990)青弓社 ・エリーズ・フレネ著/名和道子訳「フレネ教育の誕生」(1985)現代書館