フォレケホイスコーレ17
出典: Jinkawiki
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フォルケホイスコーレ
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概要
フォルケホイスコーレはデンマーク発祥の成人教育機関である。入学試験がないため17歳半以上の全ての者に入学する資格がある。また、国籍を問わないため国外の者も入学可能である。費用(授業料、部屋代、3食の食事)は、コースによって異なるが、短期コースの場合で9~10万円程度、長期コースの場合で月12万円程度である。1週間の短期コースから10カ月の長期コースまで幅が広い。そして、その期間は全寮制がとられている。そこでは、デザイン、音楽、演劇、スポーツ、手芸、語学、旅行、コンピュータなど様々なことを学ぶことができる。そして、その授業の特徴はテキストを使うのではなく会話が中心となっていることである。
起源
フォルケホイスコーレの理念はデンマークの思想家、教育者、牧師、哲学者であるグルントヴィによって立てられ、デンマークの民主主義社会をつくる基盤となった。 当時デンマークは独立王国であったが、官吏や上流階級は日常ドイツ語を使用するなど、社会全般にドイツの影響が色濃く、グルントヴィは、デンマーク独自の文化や言語、国家理念が欠けていると感じていた。そこで、デンマークの将来を担う成人の若者たちを対象に、啓蒙教育を行うことを提唱した。歴史や文化などを教師が「生きた言葉」で教えることにより若者たちは、過去や現在の状況を認識し、その理解の上に、国や未来や人生を見極める力を養うことができるに違いない、というのがグルントヴィの教育理念である。そして、この考えが基盤となり、1844年ユトランド半島に世界最初のフォレケホイスコーレトが生まれる。
発展
当時のデンマークの基幹産業は農業であったため自然に農業地域で普及し、受講生の大半は農業に従事する若者であった。農閑期に全寮制のフォルケホイスコーレに泊まり込み、農業技術だけでなく、人間や社会、国家について学んだ。このように若い農民に培われた教養は、その後の農業協同組合の新しい運動を生み出す原動力になった。 20世紀に入ると労働者フォルケホイスコーレや体育フォルケホイスコーレなど、対象者や活動内容を特定化した学校もあらわれ多様化が進み、受講生の層も農民から一般市民へと広がっていった。
現在
現在デンマークには70ほどの私立フォレケホイスコーレが存在し大半の学校には、5~32の長期コースと、1~4週間の短期コースが設けられている。長期コースの受講者は主に20歳の若者で、夏などに企画される短期コースは家族連れや高齢者の姿も多くみられる。
参考文献
デンマークにおけるホイスコーレの現状と可能性 http://www.geocities.jp/hokuofc/denmark01.htm
小島ブンゴード孝子(2004)「福祉の大国は教育大国」丸善株式会社