森の幼稚園14
出典: Jinkawiki
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森の幼稚園とその始まり
1950年代にエラ・フラタウというデンマークのお母さんが森の中で保育をしたのが始まりであり、スカンジナビアからドイツにも広まっていった。ドイツ国内だけでおよそ300もの森の幼稚園があるそうである。森の幼稚園は自然環境を利用した幼児教育や保育を行う団体であり、自然あふれる環境の中で子供たちが感性を研ぎ澄まして自然との関わりを学んだり、触れ合って関係を深めていくことが目的とされている。1954年にデンマークの親グループが自主的に行う保育活動といった形で始まった。デンマークやドイツではこの保育活動が1990年代から2000年代にかけて広まっていき、同じ時期に日本にも知られていた。2000年のデータだけでもデンマークに60園、ドイツに220園以上と数多く存在していることが分かる。
デンマークの森の幼稚園
デンマークの森の幼稚園には日本の幼稚園や保育園などというような区別はなく、基本的にすべて保育園である。乳幼児の保育に関しては各自治体に責任があるとされ、3歳~5歳の94%が保育施設を利用している。日本では森の幼稚園というのはあまり聞かないかもしれないが、デンマークでは森の幼稚園は特別なものという見方は無く、一般的な子育てや保育園を選ぶ選択肢の中の1つとして捉えられている。デンマークの森の幼稚園にも様々な形があり、①総合保育園から毎日数時間野外へ行く②週数日は野外へ出かける③毎日クラス交代で野外へ出掛ける④森の中に園舎がある⑤建物としての園舎はなく、バスが園舎で毎日野外へ出かけるところなど、その保育園によってたくさんのパターンがある。保育スタッフの構成の割合としては有資格者が60%でその他はジョブトレーニングを行うために資格を持っていない人を雇うことを国で定めているのである。デンマークで保育士になるためには21歳から3年半ほど学び、資格を取得する必要がある。
デンマークの保育計画によると、総体的人格形成、社会的能力の発達、言語の発達、身体と運動、自然と自然現象を知る、文化的表現法と価値を学ぶという6項目が示されている。このカリキュラムに沿って人間として対等な関係の中、保育が行われているのである。
日本の森の幼稚園
日本でもデンマークなどの森の幼稚園での活動を参考として森の幼稚園が広がっている。日本では保育園の確保が困難であるという問題があるが、子育て環境を見直すといった意味でも自然環境を利用した森の幼稚園を求める声は少なくない。現在の日本は自然が子供たちの周りに少ないと思われ、またテレビやゲームなど昔よりも自然と触れ合うような機会や遊びが減少している。また『共同保育』という、親が運営し保育士と協力し連携して保育を行うといった形をとっているところもあり、親と保育者の距離が近く、子供の成長をより身近に感じられるものとなっている。また昔ながらの日本の土地や環境を活かした保育や、日本の文化や風習を取り入れた活動も積極的に行われている。
参考文献
Y.S