MOOC(ムーク)
出典: Jinkawiki
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概要
MOOCとは、Massive Open Online Courseの略で、オンラインで大規模な講義を受けられるものであり、多くは無料で受けることがでる。アメリカでは名門大学が導入するなど徐々に普及してきていて、講義を受けるだけでなく、課題を提出したり、テストを受けたりすることも可能で、中には修了資格を出す大学もあるほど、浸透してきているオンライン上の講義である。2013年に日本では東京大学が日本の大学として初めてMOOCを配信し始めたこともあり、NHKなど日本のメディアでも多く取り上げられ話題となった。MOOCの発展により、さまざまな大学の講義を無料で学ぶことができる、時代と発展すると言われている。
歴史
2008年:カナダのアサバースカ大学のジョージ・シーメンスらが開講したcMOOCと呼ばれるもので、この講義で初めて「MOOC」という言葉が使われた。あるテーマに興味を持つ人々が集まり学び、ブログ等で 交流することで学びを深めるといった活動だった。
2011年:スタンフォード大学が人工知能や機械学習のオンライン講座を配信。16万人の受講登録者を集めた。
2012年:MOOC元年と言われる年。これまでのMOOCの成功に影響され、アメリカの有名大学の関係者が次々とMOOC提供サービスを立ち上げた。
MOOCの受講の流れ
MOOCは、大学が各自に提供サービスを立ち上げるのではなく、仲介業者である「MOOCプロバイダー」や「MOOCコンソーシアム」のプラットフォームを利用して受講者に届けられるのだ。受講者はMOOCプロバイダー/コンソーシアムにユーザー登録することで、複数の大学のコースを受講することができるシステムとなっている。 受講者は、受講したい学習コースを選択し、講義の動画をオンラインで視聴する。学習コースの多くは数週間で学ぶものとなっていて、受講者は講義を視聴するだけでなく課題の提出が求められ、修了すると修了証が発行される。
日本での取り組み
2014年に日本を拠点としたMOOCプロバイダー「gacco(ガッコ)」が誕生した。設立したのは株式会社NTTドコモ、NTTナレッジ・スクウェア株式会社で、2014年4月の東京大学本郷和人先生の歴史のコースを皮切りに、慶応大学村井純先生のインターネットのコースなど相次ぎ開講された。2014.9.3の時点では、募集中の講義が12コースあり、7万人の受講生を集めていた。
現状
MOOCは、2011年から2012年ごろに人気がでてき始めた。 だが、MOOCの教育では、学習する過程でユーザーのモチベーションを維持し、学習の意義を提供することが出来なかったのだ。大学のように人々を学習に集中させ、教育を施すことができなかった。 その問題は以下の二つである。
①モチベーションという課題 MOOCはコースの修了率が驚くほど低い。コースにもよるが、サインアップから修了までの割合が一桁であることが頻繁に起きている。履修するか離脱するかの、コースが始まった最初の週で大幅な離脱が見られる。授業を無料にすることで、コースの内容をつまらないと感じたり、難しいと思ったりとユーザーが思ったら、続けるインセンティブが少ないのだ。 また、開かれたオンライン教育では、働く人のキャリアと直結するように制作されたコースは少ないため、学習内容を直接的な結果に結びつけられないのでモチベーションが下がる要因の一つであると言われている。自発的なモチベーションと環境がないと、オンライン教育プロダクトは効果を発揮しない。オンラインコースの多くは、学習効果と経済的な文脈で明確な付加価値があると認識されない場合、本や記事を読むのと同列で比較され、注目を得るのは難しくなるといった状況になってしまう。
②学習の意義 学生の日々の活動の中で学習活動を最も優先し専念すべき活動であることであったり、その日の中の思考活動を学習に優先的に充てる理由があるかどうかの問題だ。 学習の意義とモチベーションは深く関連していて、毎日学習を意識的に決断して行うのではなく、必ずデフォルトで学習に時間を費やす。ここからさらに学習に集中することで、学習内容や理論の中につながりを見出し、知識をより深く掘り下げることができる。 大学に物理的に通うということは、自動的に学習することが優先される。大学のキャンパス、授業のスケジュール、キャンパスでの学生たちの集まりは、意識を学習へと向ける力があると言われている。
新しい形でオンライン教育を提供するMOOCは、どちらの意義も失ってしまった。授業を無料にすることで、コースの内容をつまらないと感じたり、難しいと思ったりした時、続けるインセンティブが少ないのだ。物理的に通わないために、友人が授業への出席を促したり、社会的な効果も生まれない。 Courseraではコースを受講しているという感覚を与えるため、いくつかのプロダクトは複数の生徒が同時に講義を受ける形式を取ったが少なくとも表面上は成功しているようには見えず、オンライン教育の持つ便利さも阻害しているともとらえられている。 ウェブが誕生してから、オンラインでのコミュニケーションツールは充実し随分と使いやすくなった。しかし、数十人のメンバーで使用できて、知識を深めるためのコミュニティーを支えられるツールはまだ無い。なので、競合となる伝統的な教育機関に対抗できる、学習の意義を認識できる仕組みをウェブに持ち込む必要がある。
参考文献
・オンライン講義のMOOCが大学に取って代わることができない理由 http://jp.techcrunch.com/2015/05/19/20150517why-is-the-university-still-here/
・オージス総研Webマガジン 「広がる大規模公開オンライン講座「MOOC」 その1」 http://www.ogis-ri.co.jp/rad/webmaga/rwm20141001.html
・オージス総研Webマガジン 「広がる大規模公開オンライン講座「MOOC」 その2」 http://www.ogis-ri.co.jp/rad/webmaga/rwm20141101.html
・TECHACADEMY MOOCとは https://techacademy.jp/magazine/1234
ハンドルネーム みっつ