名誉の殺人
出典: Jinkawiki
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名誉の殺人とは、女性が結婚をする前に性交渉を行った場合(強姦による被害も含める)、一族の名誉をけがしたとみなしてその女性の父または兄弟が女性を殺害する という風習のことを指す。倫理等の観点から問題視されており、国連やアムネスティ・インターナショナルなどの人権保護団体が調査を行っている。 特に保守色の強い、イスラム圏の国々で多いといわれている。だが、コーランには不貞行為を行った者は殺すべきだという記述はなく、一部の過激な主張を持つ信者の過大解釈によるものだという意見もある。 国連の調査データによると、毎年約5000人が被害にあっているという。
法律による規制
パキスタンでは有名モデルで活動家の女性が実の兄に殺害された事件を受け、加害者は終身刑とする新しい法律を制定し厳罰化した。 しかし、裁判官の意思によって判決内容が大きく変わってしまうという可能性もある。 さらに、キサース・ディーヤ法という法律により加害者が被害者遺族に対し減刑などを要求することができてしまう。 名誉の殺人は、被害者本人以外の家族が同意しているという複雑な状況で行われるため加害者が優遇されてしまうことも多い。 加害者は一種の英雄のような扱いを受けることもあり、厳罰化をしても事件はなくならないのが実情である。
知られるようになったきっかけ 2003年に、フランスで実際に名誉殺人の被害にあったヨルダン人女性、スアド氏によって書かれた「生きながら火に焼かれて」という書籍がベストセラーとなった。 このことによって、名誉殺人の存在そのものが世界に知られるようになった。さらに、風習や伝統とはいえ現代の倫理観で問題とされる行為に関する議論が高まった。 一方、フランスでイスラム教にイスラム教に対するイメージが悪い原因の一つと言われることもある。 ちなみに、スアドという名前は本名ではなくペンネームである。居住地が判明し、家族に襲撃されるのを恐れたための対応である。 事実、避難先の国に家族がやってきて殺害される例もある。
参考文献
森浩「婚前交渉疑い、電気ショックで殺害 パキスタンで横行する「名誉殺人」の恐怖」産経ニュース、2017年9月26日
「パキスタンの「名誉殺人」、新法施行後も続く」AFPbb news 2017年11月1日
スアド 『生きながら火に焼かれて』ヴィレッジブックス、2006年