911事件Ⅻ

出典: Jinkawiki

2018年1月24日 (水) 17:38 の版; 最新版を表示
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目次

9・11事件

2001年9月11日午前8時から10時にかけて、 2機の旅客機がニューヨークの世界貿易センタービルに、1機の旅客機がワシントンの国防総省に、1機の旅客機がペンシルヴェニアの原野に激突した。これらの旅客機は,いずれもハイジャックされたものであった。死者は3000人を超え、世界貿易センタービルは瓦礫と化した、 この一連の事象を、同時多発テロ9・11事件などと呼ぶ。この事件をウサーマ・ビン・ラーディンに率いられたアル・カーイダの犯行と断定したアメリカ政府は、 10月7日から アフガニスタンの軍事攻撃を開始した。 NATO加盟国や中央アジア諸国、日本など多数の国々が、アメリカの軍事作戦に参加、支持の態勢をとった、アフガニスタンのタリバーン(タリバン)は、それほど組織的抵抗を示すことなく、支配権の放棄を余儀なくされた、 同年12月22日には、 カルザイ暫定行政機構が発足している。この戦争ではアメリカの圧倒的な軍事力の誇示と、アフガニスタンにおける20年以上にわたる戦乱による荒廃のさらなる増幅がくっきりと浮かび上がった。

9・11事件とアフガニスタン戦争の問題点

9・1 1事件とそれに続くアメリカのアフガニスタン戦争にかかわる問題点が、いくつかある。 第1の点は、従来の戦争の枠組みを超えているところである。アメリカのアフガニスタン戦争は、アフガニスタンを戦場としながら明らかに国と国との戦争ではない。旦戦布告もなければ。停戦交渉もなかった。アル・カーイダとタリバーンの殲滅を目的としながら、アフガニスタンを全面的に攻撃した。アメリカの軍事攻撃から10カ月たった現在( 2002年8月) 戦争の目的とされたウサーマ・ビン・ラーディン,タリバーンの指導者オマールの捕捉は達成されていない。第2の点は、テロ攻撃が従来にない手段によって行われたことである。旅客機を攻撃手段にし実行犯が乗客を道づれに全滅するやり方は、前代未聞のものといえる。ここまでの手段をとった背後に、何があったのか。 いまだに、 最も不明確な部分である。 第3の点は、 テロ攻撃の実行犯の全容が必すしも明確になっていないことである。 事件後しばらくして、 アメリカ政府から顔写真つきの19人の実行犯の名前、簡単な略歴が公表された、 その後、 サウジアラビアやチュニジアで実行犯とされた本人が数人みずから名乗り出ている。 偽造バスポートなどが使われたのは明白だが、その後いわゆる実行犯リストの訂正はまったくなされていない、アメリカ側からは、これらの実行犯がアル・カーイダやタリバーンとどのような関係をもち、具体的にどのような経緯をへてテロ攻撃を実行したかについては、状況証拠的な情報が一部分示されているだけである。アフガニスタン攻撃の具体的な根拠は、ほとんど明らかにされていない。一方的な情報操作が行われている可能性が強い。

未来への深刻な影響

こうした問題点を内包する9・11事件とそれに接続するアメリカのアフガニスタン戦争が、人類の未来に深刻な影響を与えていることは確実といえる。その深刻な影響は、未曾有の規模と内容になる可能性さえある。想定されうる最悪のシナリオは、戦争気分の横溢のなかで制御不能な核戦争に突入することである。それは、人類社会の滅亡だけでなく地球上の生命体の絶望的な壊滅にいたる道を歩むことになるだろう。9・11事件をへた現在、地球上のいたるところで戦争気分の横溢現象が見られはじめている。カシュミール問題をめぐるインドとパキスタンとの核爆弾の使用も辞さないとする緊張関係、イスラエルにおける対パレスチナ戦争の絶望的な拡大、東シナ海における不審船の撃沈など、いずれもアメリカのアフガニスタン戦争を契機とする戦争気分の横溢がなかったら生起しなかった事象かもしれない今後の問題は、こうした事象が連鎖反応を伴ってとめどもなく拡大し、増殖していくことである。ましてや、アメリカ政府の高官たちは、ことあるごとに、悪の枢軸イラク、イラン、朝鮮民主主義人民共和国の一方的攻撃の可能性を明言している。もし、明言どおりに攻撃が実行されれば、最悪のシナリオに突き進む道を修正することは不可能になるかもしれない。

種としての人類という認識の共有へ

9・11事件の深刻な影響を、どうすれば最小限の段階におしとどめることができるのかこれは、至難の業といえる。アフガニスタン復興ひとつをとっても、困難な事業である。現在のアフガニスタンの状況ソ連との戦争、内戦、タリバーンなどの歴史をそのまま矛盾としてかかえこんでいる。この矛盾を、アメリカの武力を背景におおいかくすことは不可能である。アメリカ自身の位置づけを含めた、冷静な歴史認識の共有が不可欠といえる、最終的に、最悪のシナリオを回避するためには、種としての人類という認識が地球規模で共有される必要があるだろう。種としての人類という認識が共有化されてはじめて、大規模な戦争、残虐な争いが姿を消す可能性が生まれてくる、この方向性を、非政府組織( NGO )や非営利組織 ( NPO)の活動などを通じてさまざまな角度から模索していかなければならない。

参考文献

梅棹忠夫「世界民族問題辞典」平凡社 2003 アハメド・ラシッド 「タリバン」(坂井定雄,伊藤カ司訳)講談社 2000 松原正毅,小杉泰,日杵陽編「岐路に立っ世界を語る 9・11彳受の危機と希望」平凡社 2002


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